狗が身 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
どうしようもない馬鹿なんだよ。
ストーリーはめちゃくちゃ微妙だけど、そんなことは本作の良さになんの影響も及ぼさない。本作の見所はカズマと劉鳳という馬鹿二人の生き様にあるのだから。
この二人を受け入れることが出来るかが、本作への評価の分かれ目だろう。それはたぶん、3話まで観れば判断するには充分だから、合わないと感じたら3話切りを推奨します。
さて、僕の総合評価の高さから分かるように、僕はカズマと劉鳳がかなり好きです。もちろん、クーガーの兄貴も。
劉鳳はともかく、カズマは言動だけならどうしようもないクズです。友人の君島にさえ言われるぐらいだから、それはもう否定しようがない。
しかし、僕はカズマという人間に憧れずにはいられない。
それは決して暴力的な力に対してではなく、自分の中に譲れないモノがあって、そして、これだけは誰にも負けないと思えるモノを持ち合わせているところにある。
本作の特徴である【アルター】という能力。これがカズマの格好良さをすごく引き立ててるんだよなぁ。
アルター能力とは、物質をその人の無意識に望むモノや、その人のエゴを反映させる力のことを指す。つまりカズマのアルターから分かることは、彼はどんな困難も自分の力で打ち砕くという強い意志を盛っているということ。
これが現代社会を舞台とした世界であったなら、ヤンキーマンガでも無ければ通用しないことかもしれないけど、本作は無法地帯となったロストグラウンドなる大陸が舞台。だからこれが通用する。
自分に妥協してホーリーや本土に従えさえすれば、ひとまず生活に困らずに過ごすことが出来る。
しかし、カズマはそれを良しとしない。どこまでも自由に生きていきたいのだ。何者にも縛られたくないのだ。例えそのせいでどれだけ辛い目に遭うとしても、彼はノーと言う。生き方が完全にロックなんだ。
カズマだって、最終回でつかの間見たような平凡な日常をどこかで望んでいる。だけど、その為に自分に妥協したくは無い。
どこまでも不器用で、格好良くて、哀れな男なんだ。だけどその強さに僕は憧れてしまう。男としての自己満足な格好良さを夢見てしまう。
自分を貫けば貫いていくほど、身体は破滅へ向かっていくし、その代償に得る力は段階を踏むごとにどんどん見た目が悪くなっていく。(この辺り、監督も男がエゴを貫くということは本当は格好悪いことなんだと分かっててやってるんだろうなぁ)
男なら一度は観てみて欲しい。馬鹿な男のクズっぷりを。