ブリキ男 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
朋也と渚の出会いに始まる全ての物語
恋愛ゲーム原作ですが、先入観を捨てて見れば、全編に渡って、人と人との繋がりと思いやりを描いた作品である事を自ずと理解出来ると思います。
朋也と渚の出会い、渚の願いをかなえる為に朋也が協力するところから始まって、それからはこの二人を中心に、朋也の親友の陽平、杏と椋の姉妹も加わり、悩んでいる人たちの願いを叶えるためにその手助けをするお語を中心に、仲間同士の信頼の深まり、それぞれの家族の絆、演劇部復活への想いなどが描かれます。
全22話は大体5つのパートに分かれていて、真ん中の3つの挿話は登場人物の一人ずつに焦点を当てて描かれています。
1~3話 朋也と渚の出会い
4~9話 風子とお姉さんのお話
10~14話 ことみと両親のお話
15~18話 智代の家族のお話
19~22話 演劇部のお話
可愛い女の子キャラが沢山登場しますが、朋也の心は早々に渚のものなので決して揺らぎません。第1話における二人の出会いが、その後の全てを物語っている様でした。ありがちな唐突な出会いなどではなく、繊細で美しい表現でした。
各挿話の冒頭で描かれる少女とロボットの「幻想物語」も印象的で、全貌の見えない世界観に魅了されました。この物語だけを描くスピンオフ作品があっても良いかも知れないとさえ思われました。続編の「CLANNAD AFTER STORY」ではこの物語が重要な意味を持つ様です。
朋也の人を気遣う真剣さと、渚とその両親の※秋生さんと早苗さんの底知れぬ優しさが全編に渡って心地良い作品ですが、悲しみの中にも希望の込められた各挿話の内容も素晴らしく、終局の場面などでは涙してしまう視聴者の方も多かろうと思います。心から感動させられます。
一方で、古河夫妻や朋也&陽平の(夫婦)漫才的な問答や、陽平と智代のバイオレンス要素を多分に含むギャグパート、ヒトデ大好き風子ちゃんの面白かわいい唐突な登場とかに笑かされるシーンも多々ありました。バイオレンスなギャグって、陽平みたいな超丈夫なキャラがいて初めて成り立つのだと思うけれど、自業自得とは言えリアルな目で見ると扱いがかなりヒドイ(笑)。
音楽はOP、ED、劇中音楽を含めて評価5以上付けたい気持ちです。全ての曲の作者の方々に賛辞を送りたいです。
全体的に泣ける曲が多く、曲が流れると涙ぐむ程に条件付けさせられてしまったブリキですが、お気に入りはことみのテーマ曲にもなっている「Étude pour les petites supercordes」だったりします。郷愁が漂うゆったりとした曲調はとても和みます。日常で聴きたい音楽なので珍しくもサントラ購入してしまいました。
エンディング曲「だんご大家族」も優しいメロディと囁く様な歌声で癒されます。ムービーのだんごや手を振るうさぎもかわいくて、毎回飛ばさず見てしまいました。
※:パン屋なのに咥えタバコと言うのは非常にイメージ悪いですが、店内で煙の出ている描写が無かった筈ですので、寛容な目をで許してあげましょう。古河パンのお客さんたちも気にしていないみたいだったし‥だったら視聴者も‥という感じで。それに秋生さんはさびしん坊なので。