「BLACK LAGOON ブラックラグーン(TVアニメ動画)」

総合得点
89.9
感想・評価
5054
棚に入れた
23652
ランキング
71
★★★★★ 4.1 (5054)
物語
4.2
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.1
キャラ
4.2

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

裏社会ハードボイルドガンアクションの最高傑作。娯楽性も高い点が素晴らしい。

90年代後半のタイの架空犯罪都市「ロアナプラ」を舞台に、日本人の普通の商社マンだった主人公ロックが、超アウトローな女性ガンマン・レヴィたちと共に、裏社会に関わっていく。
1期2期+OVA合わせて全29話です。(レビューは全部纏めて書いてます)

ありとあらゆる悪党組織の見本市!殺伐…でも痛快な日常系!
ハードボイルドにして小粋なキャラクター達!ガンアクションもカッコイイ!
…絵的にも物語的にも極めて血生臭く殺伐としているので、子ども(15歳くらい?)さんはまだ観ない方がよろしいかと。
でもいつか、是非とも一度はチェックしてほしい名作です。娯楽作品として圧倒的に面白いので。

{netabare}『物語』
とにかくガンアクションが派手でカッコイイ。必ずしもリアルには拘らず、あくまでも娯楽に徹したカッコ良さ。
ストーリーも面白い上に、バトルも目が離せない。半ば超人バトルです。
破天荒なアクション(ヤクザの日本刀や中華女の暗器が銃と互角以上だったり)はリアリティー無い!と見るは無粋。
あまり細かい事には拘らず、ハリウッド映画のノリで楽しむのが吉でしょう。
…ターミネーターばりの不死身メイドと、ロアナプラの凄腕たちと敵対したエピソードがバトル的に凄かった。

かなり凄惨で残酷なエピソードもありつつも、全般的には陽気でユーモアを絶やさない小粋さも魅力。
ラグーン商会面々のセリフ回しが妙にカッコ良いです。
…後半は鬱な話多し。殺人鬼として育てられた哀しき双子や、平穏な生き方を捨て任侠を選んだヤクザ少女の話は、やりきれない悲哀あり。

90年代後半という時代背景、犯罪都市ロアナプラ。この絶妙な舞台で、闇に生きる者たちの破天荒な暴れっぷりを時にハードボイルドに、時に小粋に見せてくれる。
舞台背景故に、中国マフィア、元ソ連軍人(崩壊して間もない)、ナチス残党から日本赤軍残党等々、多彩な闇の組織がオールスターで出てくるのが凄い。
…90年代後半なら、アフガン戦争上がりの旧ソ連軍人や、ナチス残党もギリギリ生きてる絶妙な時代ですな。
※ピピン林檎さんのレビューより

日本が失われた○○年に足を突っ込みかけ、でも未だバブルの幻想消えていない…閉塞感。
それを感じつつ生きてきたであろう主人公・岡島緑郎(おかじま・ろくろう)の常識が…イカれた犯罪者どもと関わり、変わっていく。
平凡な日本人・緑郎…は死に、ロアナプラの非合法運び屋「ラグーン商会」の一員・ロックとして生きていく…。
平和な日本人緑郎が、ロックとして犯罪都市に魅せられていく過程で、視聴者も、いつの間にか闇の住人たちの世界に引き込まれていく感じ。
…アニメや漫画や小説や映画ドラマ、これらフィクションの醍醐味は「非日常」を疑似体験させてくれる事だと思うので、本作は「普通の日本人はまず体験できない世界」を見せてくれる、そこが面白いのだと思います。
表の世界の正義や善意に縛られぬ「自由」な生き様は残酷ですが…
一方で、少し憧れてしまうので。あくまで空想に限定で。

物語上の見所は、ロックとレヴィの関係性の変化。
…犯罪都市には異質な日本人ロックと、暴力の世界で生きてきた美女レヴィが時にベストパートナーだったり、時に生き方で対立したり…
百凡の作品とは一線を画する鋭さ危うさ、でも言い回しが妙にハードボイルドでカッコ良い。
…普通の作品ならロックみたいなキャラは偽善が鼻につくか、レヴィが日和るか、でも本作はどちらでもない。
双方一歩も引かぬ危険な関係、でも互いに命懸けで向き合っていく。
なんだが「説教臭さ」感じさせないのが凄いです。そこが名作の所以だと思う。

本作のもうひとつの良さは、大局的には思想色が透明な事。
各々の悪党たちが、各々自分らの生き方貫いている。
…憎まれ役が人種差別のナチス残党やアメリカ人マフィアで彼らがボッコボコにされる痛快劇な辺りは作者の好み感じなくもないですが、別に鼻につく程じゃない。
※よく比較される「ヨルムンガンド」は、大局的なテーマが思想対決に至るのに比べると、ブラックラグーンはあくまでも個人の生き様に留まっている。
優劣の話ではなく、良くも悪くもブラックラグーンは政治思想色が薄く、故に純粋に娯楽とキャラクタードラマが楽しめるのが気に入っております。

2期終盤の日本編も、日本人のロックが再び自分と向き合う上で重要であり、レヴィとの関係も萌えるので良し。
ヤクザ少女の生き方が、今までのキャラ達の自由さと対極のしがらみ感じる為かイマイチしっくりこないのですが、任侠物らしい展開もまあアリか。
レヴィと銀次の決闘はファンタスティックながらベストバウトでしたし。


『作画』
レヴィがかなり美人でセクシー。凶悪な人相多いですけど。
見所はガンアクション、崩れるシーンもありますが、魅せる瞬間はバッチリ魅せてくれる。
綺麗さ関係なく、作画的にも面白いです。


『声優』
レヴィは今や豊口めぐみさんの代表役。豊口めぐみさんといえばガンダムシードのミリアリアの可愛い系なイメージから一転、ドスの効いたクールでカッコイイ女性に。
レヴィ以降は豊口さんで真っ先にレヴィ連想するアニメファン多数。
とにかくレヴィの魅力は豊口さんの好演が大きいです。
終盤のデレの可愛さも破壊力バツグン。

もう一人、バラライカ姐さんの小山茉美さんの大物感も圧倒的。レヴィ(豊口さん)や雪緒(桑島法子さん)を「お嬢ちゃん」呼ばわり、この格上感堪りません。

富沢美智恵さんのターミネーターもといロベルタもコワイ!セーラーマーズとは思えん!

ロックの浪川大輔さんの平和ボケと真剣さも絶妙。
平田広明さんの飄々とした感じも良い。
俳優が本職の磯部勉さんの渋いイケボも最高でした。(前年にマジレンジャー出演、ダッチを見て、あ~、ウルザードの人だ~と思ったw)

この他男女ともに豪華声優陣。杉田智和さんが中二病?なギャグキャラだったり、中村悠一さんがチンピラだったり。


『音楽』
OP、EDともに雰囲気ばっちりでカッコイイ!BGM含めて素晴らしいです。
2期に入っても変更しないのが好感持てる。
…別に2期だからって主題歌変える必要ないと常々思っているので。


『キャラ』
ロックは平和ボケした正義振りかざしてレヴィの足引っ張る、昔の困ったちゃんヒロインの男版…
と見るとかなりイメージ悪く、多分ロック嫌いな方も多いのでは。
でも。そんなロックの在り方こそはブラックラグーンらしさだと思うので。
ロックがいてこその裏社会の生き様が映えるので、不可欠な主人公でした。
頭良くて頭脳での見せ場もありますし。
頑なに表の世界の良心を捨ててないのは、強さだと思う。
殺されそうになっても真剣に向き合ったからこそ、レヴィもバラライカも心が動いた。

レヴィのカッコ良さと強いヒロイン像の方が本作の看板でしょう。
無茶苦茶強い。狂犬。全然女らしくない…のに、ふと見せる無防備さがエロかったり。
闇の住人としての生き方を貫く苛烈さ、でも終盤ロックを少し認めてデレ…とは違うんだけど、やっぱり可愛い。

ダッチの知的で有能な上司感、ベニーはロック寄りの常識人…と見せて、彼もまた狂気を見せたり。

時にレヴィすら圧倒する存在感放つロシアンマフィア・バラライカ姐さんカッコ良い!
素敵な女性だが…超コワイ!でもその狂気と強さには危険な魅力が。
平和ボケした日本のヤクザとは役者が違い過ぎた…。

凶暴なシスター・エダのインパクトも大きい。あんた本当に聖職者か!?
その意外な正体…アメリカマフィアのサンシタ圧倒するシーンは名場面。
中華マフィアのチャンさん、やたら強いカタコト中華女シェンホアなどレヴィと対等以上の強者も多い。
皆キャラが濃い。

ターミねーちゃんもとい、メイドのロベルタ、戦闘力は最強か!?コワイ!
彼女も悲しき戦士、戦闘は強くても、儚い感じ。
没落名家のガルシア坊ちゃんは本作一のヒロイン格かも。

双子の殺人鬼ヘンゼルとグレーテル…本作一の萌えキャラ…いや萌えている場合か!救いはないのか…。

雪緒ちゃん大和撫子な美少女で普通の女の子だったのに。
何故わざわざ自ら破滅を!?
ロックならずとも視聴者も正直困惑…
でも結局本人の選んだ道。彼女もまた闇に魅入られたのでしょう。
…桑島法子キャラの宿命ですかね~。

OVAのアメリカ軍人は本作随一の善人っぽい。
でも個人の善意と国家のやり方は別問題な辺りが、ブラックラグーンの無常さか。{/netabare}

投稿 : 2016/05/29
閲覧 : 407
サンキュー:

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