退会済のユーザー さんの感想・評価

4.6
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

令呪をもって命ずる。　セイバー背中を流してくれ！　お気に入り作品メモ

stay/nightで大活躍する我らがセイバーですが、
前日譚であるこの作品では願いを叶えることはできませんでした。
stay/nightが勧善懲悪がハッキリした図式だとすると、
この作品では登場人物それぞれが確固たる理念を持っていて
誰が正しいのか明確にしませんでしたね。


キャラクターは非常に個性的で魅力がありました。
お互いの理念が対立して、ぶつかり合うわけですから
武力の衝突ではなく、思想やプライドの対決の物語といえます。
そう思えるだけキャラの心情描写がしっかりされていました。


この戦いでセイバーが成長していったのかと思うと
感慨深いものがあります。。
他の英霊たちに比べて迷いが強いのがセイバー
マスターの切嗣にすら自分の正義を否定されていましたし。。
英霊という存在でありながら精神的には成長途中であって、
簡単にいえば、残念ヒロインなんですよね。。。
だからこそ、セイバーを応援したくなるんです。
可愛いよセイバー


願いを叶える『聖杯』をめぐって７つの陣営が衝突する物語ですが
脇役と呼べる登場人物がいないほどキャラが濃いんです。
ドロッドロに濃いです。
漢の中の漢、ライダーとウェイバーのペアが唯一清涼剤で
笑わせてくれますね。。。そして泣かせてくれる


魅力的な敵役が存在する作品は名作と、じぶんは定義付けているのですが
アーチャーと綺礼。この一般的な倫理感をまるで持たないコンビは
強烈でした。。自分の人生も世界の行く末もアソビなんですよね。。。
私欲を曲げない意志は歪みを感じるとはいえ
気高さを感じてしまいます。。


・作画と演出
魂がこめられている戦闘描写は10年に1作の出来栄え
並の劇場作品より上なのではないでしょうか。
流れるようなモーション、カメラワーク
アニメでしか表現できないアクションがここにあります。
宝具を使用したバトルも大魔法のぶつかり合いのようで
迫力がありましたね。
武力ではなく意志とプライドのぶつけ合いだと
ハッキリさせてくれる、キャラの表情も渾身の出来栄えでした。


・音楽
OP,EDともに名曲です。戦闘BGMはシーンの盛り上げに
最高の演出となっていたのではないでしょうか
OP曲『oath sign』はアニメ史に残る曲だと思います。


・さいごに
今作は『命の取り合い』が凄絶でラストも美しい結末ではありません
混沌とした景観は人間の業そのものですし、
正義は他者に尽くす清らかな行為などではなく、自分を救うためになす行為なのではないか？といった問答を残して幕が下ります。

クォリティーを維持する為に分割2クールで製作された作品ですが、
作画の質が高いのは勿論のこと、シナリオの質がハイレベルです。

バトルアニメとしてだけではなく、骨太な人間ドラマとして
お楽しみ頂けるのではないでしょうか。
機会がありましたら、ぜひご覧くださいませ


最後までおつきあい頂き誠にありがとうございました。