剣道部 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
黒いドラえもん
[文量→中盛り・内容→考察系]
【総括】
私の、トラウマ作品の1つ(笑)
原作者は、藤子不二雄Ⓐ先生。A先生らしい、ブラックユーモア作品。
「この世は、老いも若きも男も女も、心の淋しい人ばかり。そんな皆さまの心の隙間をお埋めします。いいえ、お金は一銭も頂きません。お客様が満足されたら、それが何よりのお代でございます」(冒頭より抜粋)
……まだ、アニメが子供向けとされていた時代。深夜の時間帯とはいえ、アニメでやることか? と、今なら思いますが、当時はなんの疑いもなく、見てました(再放送だったのかな?)。怖いもの見たさ、って、ああいう感情を言うのですね。
ワクワクというより、ドキドキ。自分にとっては、なんか、ガキの時に親に隠れて観ていたアニメです(笑)
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
主人公、喪黒福造は、忠告するタブーを守ることを条件に、人々の願いを叶えます。しかし、願いを叶えられた人々は結局欲に溺れ……ドーーーン!ですw
今になって考えると、芥川龍之介の小説、「蜘蛛の糸」が、下敷きになってるのでしょうか。盗人(カンダタ)が死に際に一匹の蜘蛛を助けたことで、お釈迦様が地獄に蜘蛛の糸をたらす、例の有名な話です。
あの小説に関しては、様々な読み方ができますが、そのひとつとして、「お釈迦様、ムチャ振りじゃね?」というのがあります。だって、あそこで他の死者を蹴落とさないくらいなら、カンダタだって地獄に落ちてないし、そもそも盗人なんかになりはしないし。また、他者を犠牲にしてでも自己の生命を守ることは、自然な行いであり、悪と断言できるのかは難しいですし。
なんか、お釈迦様の行為は、コロッセオに罪人と猛獣を入れて戦わせる、残酷な貴族のお遊びにも思えます。
喪黒福造のやっていることも、この行為に近いと思います。救うと言いつつ、結局、ドーーーン!ですから(笑)
まあ、因果応報っちゃあ、そうなんだけどね。
そんな感じで、スッキリ楽しいアニメではありませんが、深みはあるアニメだと思います。もっとも、人生のリアルを(酸いも甘いも)知ってしまった今、自分の心にどう響くのか、楽しみでもあり、怖くもあり。まあ、再視聴はしないかもしれません(苦笑)
ちなみに、マイナーですが、同じく芥川の「魔術」という短編小説は、更に、笑ゥせぇるすまんに似ている感じです♪
{/netabare}