どらむろ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
異世界転生でゆる~いギャグコメディー。かわいい&お馬鹿コントで安心して楽しめる♪
Web小説(ライトノベル)原作のギャグコメディー全10話です。通称「このすば」
主人公が異世界に行く転生物の中でも、シリアスを排したお気楽で楽しい作風。
RPGや異世界系のお約束あるあるネタを活かしたパロディーと、個性派ザンネン娘たちのテンポ良く軽妙なコントが可笑しい&可愛い。
…2016年冬アニメで予想外の好評を博したダークホース。
※2013年度の「はたらく魔王さま!」に匹敵する面白さでダークホースと、作風違うながら通じるモノ感じます。
※2012年度の「イクシオンサーガDT」も若干彷彿としますが、面白さやキャラ萌えの安定度は「このすば」が圧倒的。
(イクシオンサーガも好きなんですけど、より多くにオススメ出来るのはこのスバの方)
急遽2期も決定した模様、楽しみです。
{netabare}『物語』
「異世界転生物」近年主にWeb小説を中心に一大勢力となっている人気ジャンル。
我々の世界の主人公(大抵は凡庸、ニートとか多い)が死んで異世界に転生、この際に強い異能得て異世界で無双!
…近年作風が多様化して例外も多々ありますが、本作はそんな異世界転生系のお約束をベースに、呑気お気楽なギャグコメディー路線が楽しい作風です。
前提として視聴者(読者)の転生系への共通認識を活用、このお約束をことごとく崩していく。
転生したらチート無双→あんまり強くない
転生したらガンガンバトル→真面目に汗水流して働いて街から出ない
…転生系のお約束に疎い視聴者でも、序盤で方向性が分かり易いので問題なく楽しめそうなのも良い。
コメディーとしてはボケツッコミ中心のコント、全10話に渡り終始非常にテンポ良く、かつシリアス…になりそうでいて徹底的にギャグに徹する安心感はバツグン。
…お約束がしっかりしているコントなんですな。4話の魔王軍幹部が爆裂魔法大好き娘めぐみんに居城を連日爆撃されて…魔王幹部の方が可哀想な辺り、魔王軍も含めてのコントという事で、可笑しさと同時に(あ~、これはシリアスには絶ッ対ならないなw)と安心して笑える♪
まさに不条理系ギャグコメディー。しかも、めぐみんの可愛さ最高。
この回に限らず、こういうノリでの可笑しさと、キャラの可愛さが両立しているのが良いです。
個性的で可愛く…かつ性格的にザンネンな3人娘と、彼女らにノリツッコミしつつも太々しく(悪)知恵働かせる主人公のキャラクターが絶妙、クスリと笑えて、シリアスをブッ飛ばす痛快さも魅力。
ラブコメ要素は皆無でも、萌え的には三者三様な可愛さ魅力あり、萌えアニメとしても一品級なのも良い。
とにかく、キャラクターが非常に面白いです。(キャラ評価後述)
一見ハーレムパーティーだけどラブコメ感は驚く程に皆無、とにかく滑稽で愛すべき残念系少女たちの面白可笑しさが、ユルい作風と相まってとにかく面白かった!
私的に一番お気に入りは5話。水の女神アクア(能力は高いがオツムが非常~にザンネンな美少女)が汚水池を浄化する為に、檻に入れられドナドナされ…
モンスターに袋叩き(檻は頑丈なので安全だが、コワイ!)されつつ涙目で浄化魔法!
アクア様はかわいいなぁ♪可哀想だけど…大爆笑シーンでしたw
この話はアクアのザンネンさと可愛さ、シュールギャグの切れ味もさることながら、戦闘以外の方法で魔法活用とクエスト達成するアイディアもユニーク。
日本製RPGのお約束に反するけれど、実は欧米由来のTRPG的発想(魔法などの能力用いて、頭使って戦闘以外の手段で目標達成する)に適っている。
バトルは手段に過ぎぬのだから、工夫して効率よく目的達すれば良いワケで。
別にワニモンスターと戦わねばならぬと決まっているワケでは無いので。
…その目的が、別に旅せず街で呑気に暮らしても良いワケで。
いざ戦闘シーンでも、7話や最終話などの創意工夫で十分な見せ場も魅力あり。
5話は前半のアクア様ドナドナだけでも面白いのですが更に後半も名(迷)エピソードが。
勇者ミツルギ・キョウヤという、古典的コテコテお約束な転生ヒーローとのイザゴザを通して、異世界系へのアンチテーゼ…
ある意味このスバの真骨頂とも言える話、キョウヤがカズマにギャフンと言わされる、痛快です♪
ギリギリ嫌味にならない雰囲気、キョウヤも悪い奴では無かった辺りも一貫して清々しいです。
…「イクシオンサーガDT」の紺とエレク様の対決を彷彿としますw
7話も何気に良エピソード。
コメディー調ながら、戦術工夫して格上の強敵に立ち向かう熱さは見事、下手なバトル系ラノベ作品の多くよりも戦闘良かったです。
死んでしまう悲しみやシリアスも、いつもの調子で茶化してコメディー…
にしつつも、くだらなくも楽しかった日々の輝きが蘇る。
コントのテンポも、回想使った演出もうまい。
作品タイトルの意味がじんわりと分かるハートフル、ギャグコメディーでも隠し玉でこういうエピソード来ると、良い感じに刺さります。
…このタイプのエピソードは作品全般の印象良くするのでとても大事。
「超次元ゲイム ネプテューヌ」10話みたいな。
こういう話を最終話にせず、その手前辺りに持って来る構成、引き締めつつもコメディーを貫くうえで上手いのでは。
8話は尺不足の為か、新キャラの登場に違和感感じるのが難ながら、面白さと萌え十分。
めぐみん…。かわいいなぁ…。
9話にして入浴エロコメ展開が!ダグネス可愛いのですが、あくまでもギャグコントなノリは崩してないのが良い。
萌えつつも、基本はコメディーな姿勢を崩さない。
最終10話は規格外の強敵相手に総力戦。
シリアス感無いとはいえそれは結果論、本人たちは命懸けで全力でドタバタやっている、その結果としてのギャグだからこそ面白い。
名軍師カズマの頭脳も冴え、各々の持ち味も存分に魅せてくれる、締めに相応しい話でした。
全編通して非常に面白かったです。「この素晴らしい世界に祝福を!」というタイトルに恥じぬ作品でした。
全編通して小気味良く、不快感は皆無に近い。
唯一の難点は8話くらいですが、致命的ではない。
その人気に急遽2期決定したのも納得、楽しみです。
『作画』
全般的な作画クオリティーは決して高くはないので、クオリティー重視の視聴者からは厳しい声も。
しかし。私はかなり好意的です。理由は以下他作との比較で…
要所のツボをしっかり押さえている。喜怒哀楽豊かな感情表現、萌えるに十分な可愛さ、爆裂魔法の多彩なエフェクト、スティール時のカズマの指使い、数少ない戦闘シーンの見せ方等々。
…他作品との比較は無粋かもですが。
同時期の「無彩限のファントムワールド」と「このすば」作画クオリティー自体は圧倒的に前者なのですが…
では「アニメとして絵的にどっちが面白かったか?萌えたか?」だと私的にこのすばの方に魅力感じました。
見せたい場面ピンポイントで魅せてくれる、ユルめの作風と相まって、力を抜くところは抜く、メリハリ。
めぐみんの「にへら」顔とか、クオリティー高低関係なく可愛いと思えますし。
…本作は、アニメは単純な作画クオリティーだけが大事ではない事が、良く分かる作品でした。
※やはり他作品ですが「普通の女子高生がろこどるやってみた」とか。
全般的なクオリティーは決して高くなくても、ここ一番の見せ場は凄かったり、ちょこちょこと可愛さあったり、クオリティー以上に体感する萌えは高かったり。
『声優』
声優陣の熱演も本作の魅力。アイキャッチでのアドリブも面白い。
福島潤さんのツッコミのキレ味は本作の要でしたし、他3人娘もバツグンのはまり役。
めぐみんの高橋李依さん非常に良かった。これまでも人気キャラ多数演じてこられた中でも、今後高橋さんといえば「めぐみん!爆裂魔法!」とイメージされそうな程。
雨宮天さんも「モンスター娘のいる日常の」ミーアに続き、最大限の持ち味発揮。
アクアの可愛さもザンネンさも、その魅力のかなりの部分、雨宮さんの好演が大きい。
茅野愛衣さんのドМ騎士はちょっと珍しい感じですが、これもまた絶品(特に9話)
最大の被害者、デュラハンの安元洋貴さんの悲痛な好演もお見事!
…もう一人注目は、勇者ミツルギ役の江口拓也さん。
江口さんは「イクシオンサーガDT」の主人公・火風紺(ほかぜ・こん)でした。
紺はカズマと非常に近いタイプのしぶとい策士主人公、ミツルギと近いポジションの正統派剣士エレク様を奇策でギャフンと言わせた男…
その紺(ミツルギ)が今度はエレク様ポジとなってギャフン。
インガオホー!(?)
いや~、そう考えると因縁を感じる配役だなぁ♪
『音楽』
伸び伸びと主題と作風を歌い上げたOP「fantastic dreamer」が好感持てる良主題歌。
最終話の山場もしっかり盛り上げており「この素晴らしい世界」だと思わせてくれる。
非常に呑気で牧歌的なED「ちいさな冒険者」も印象的。
やはり本作の作風をしっかり象徴しつつ、(ああ、こういうノリも良いな~)と思わせてくれる。
まさに、この素晴らしい世界に祝福を!
『キャラ』
精神的にしぶとくたくましく、小賢しいタイプの策士主人公・カズマの魅力が高い。
エロ根性十分でありながら、仲間の3人娘に遠慮なくツッコミかける!
それでも雰囲気が全く悪くならずむしろ楽しい。
能力が低くても参謀として非常に有能なのが信頼できる。
…「イクシオンサーガDT」の火風紺、「織田信奈の野望」の相良良晴と近いタイプ。
それに加えて、女の子3人のハーレムパーティーでも一切の嫌味を感じさせない。
決して品行方正な優等生ではなくズル賢い面もあるけれど、金銭面など倫理的に律儀なのも好感持てる。
良い主人公です。
ヒロイン3人娘の三者三様な可愛さもバツグン。
一番人気は「爆裂魔法」「エクスプロージョン!プロージョン!…ジョン」大好きな中二病魔法少女めぐみんでしょう。
中二病ヒロインとしての可愛さ、強力だが使い勝手の悪過ぎるザンネンさ、これは人気出ますねぇ。
メインヒロイン?の水の女神アクアの魅力もオンリーワン。
頭も性格もザンネン、下手すると嫌われそうなキャラ、だがそのダメっぷりも全て含めてこれが可愛いです。
喜怒哀楽の激しさが(雨宮天さんの好演もあり)絶妙な可愛さ!
カズマと言い争いつつも、一番相性が良い。良い夫婦でした。
…アクアが嫌われずに好意的に見られるのは、カズマのお陰かも。
超ドМ女騎士ダグネスも色々とヤバいヒロインでした。
騎士としては高潔で(メイン盾としては)優秀なんですよねぇ。
9話で一挙に好感度上がりました。
勇者ミツルギ・キョウヤも根は善良な辺りも、嫌味なし。
敵なのに可哀想なデュラハンさんも最高でした。敵なのに応援したくなる…。
サキュバスちゃんがえろ可愛かった。街の人々の逞しさも全般的に本作の作風伝わってきて面白かったです。{/netabare}