ハヤブサ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
死の断崖で儚く輝く生‥
「LILIUM」‥哀しい運命に抗わず、祈りを捧げる‥(MOKA☆さんのプログより)と
クリムトの画を引用されている神OPが
作品を、美しくも、哀しく儚く包み込んでいます‥
また、OPのルーシーの指の形は、罪負い人のゆるしと救いを求めるオモイが込められてます。この神OPとルーシーの指を観ただけで、ルーシーの哀しい宿命が伝わってきました。ツノが生えた新人類‥その生まれによって降りかかる疎外や迫害、やがて生まれる罪‥非情な世から、ゆるしや救い求める人?の苦しみや願いが、OPから溢れて、作中全体に染み込まれていってるような感じでした。
また、OP画が綺麗なので、元のクリムトの「接吻」みました。‥惹きこまれました‥作品とマッチしていて、この演出は素晴らしいと思いました‥「接吻」は美しい輝きの裏にある断崖「死」とも、哀しく儚い断崖に生まれた通い合う心「生」とも感じられます。
「罪と死の世界に咲いた儚い望み」‥破滅の匂いを感じながら観ると、切ない気持ちになります。罪や死を匂わせながらも、「生」を求めるルーシーの姿が、この神OPによって、際立たされています。
最終話‥こうたにゆるしを請いて気持ちをかみしめるルーシーは、まさにクリムトの「接吻」で死の淵で享楽した婦人そのものでした。名シーンだと思います。このルーシーの悦びの表情は忘れることができなそうです‥「死」を前に、一時の「生」が輝きを放っていました。
しかし、神OPでルーシーが抱きしめられていたのがマネキンであったように‥人とディクロニウス‥結ばれることは許されなかった(泣)ルーシーも、ゆるされようとは思ってなかった‥ただ請いたかったのだと思います。残りは、運命のままに果ててしまうのみでした(泣)
作中で聞いた「この世にお前の住むとこはない」この人間の言葉に、人間の悪と哀しみを感じます。生まれたこと自体が罪なんて哀しいことを信じたくはない‥裁くものが正義とも決めつけることもできない‥そう思います。
‥そして、一つでも多くのゆるしと救いがこの世にありますようにと、切に願いたい気持ちにさせられました。名作でした。
哀しかったけど、観てよかったです‥
またいつか「LILIUM」を聴いてこの哀しい作品を観たくなるかもしれません。