岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
荒木監督の原点ともいえる作品
いつも荒木哲郎さんの作品を見て感じるのは、「独特の極限状態」、「キャラクターの内面をさらけ出す人間描写」、「特に戦闘シーンにおける圧倒的な映像演出」といった共通点です。本作「ギルティクラウン」に置き換えてみると、
「独特の極限状態」に関して。東京が物語の舞台になっているなど、少し現実感も感じさせる設定。アポカリプスウイルスを巡る経緯などで、複雑な設定も多く、一部理解が難しかった。そのため、作品の土台となる極限状態が、あまり生かせなかった感がありました。ただ、友達を武器にして戦うというギミックは、とても面白い試みだと思いました。
「キャラクターの内面をさらけ出す人間描写」に関しては、キャラクターによって人間描写の量・質的な差が大きい印象を受けました。人物の恋愛、葛藤・離別・和解に至る過程をもう少し丁寧に描いてほしかった。一部にキャラクターですが、心情描写が断片的で、心境の変化を汲み取ることが難しい。
「戦闘シーンにおける圧倒的な映像演出」に関しては文句のつけどころがありありません。特に音楽は近年のアニメの中でも最高峰に数えられると思います。まさに圧巻の一言でした。
総括すると、作品全体のメッセージや面白い要素を含んでいることは十分伝わってきました。舞台設定の簡略化とストーリー構成を見直せば、よりよい作品になったのでは、というのが最終的な感想です。辛口なレビューになりましたが、荒木監督の原点ともいえる重要な物語です。本作は、その後の荒木監督の軌跡を辿るうえで、欠かせない一作だと思いました。