あんにゅい さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
鼓膜がきもちいい
いまや大長編ばりの規模と人気で躍進し続けている物語シリーズ。
化物語はその始まりとして印象深いです。
化物語は、とてもトリッキ―な作品だと思います。
それは製作会社のシャフトと新房昭之監督による特有の色鮮やかで殺伐としている世界観と非常に素敵で綺麗なのだけれどどこか違和感を覚えるような演出に支えられ、原作者の西尾維新ワールドが炸裂しているからでしょうね。
化物語というアニメが私に与えた衝撃の一つは、とにかく会話劇であり言葉の応酬にストーリーが引っ張られていく目新しいスタイルだったことです。
劇中のほとんどの時間、登場人物たちは会話し続けます。その中には言葉遊びがふんだんに盛り込まれ、ボケと的確なツッコミが入り乱れ、時に思考の遊びが少しシリアスさを与え、今か今かと決め台詞を待ち望んだりもする。
それだけ多種多様、千姿万態の言葉の波の中でも登場人物達ははっきりと個性を持ち会話に彩りと豊かさを授けています。
そして声優さんがこのものすごい量の会話を完璧に演じておられます。さらに驚くのが、本編以上に喋りまくる、オーディオコメンタリ-の存在。このコメンタリーも原作者西尾維新の描き下ろしのため、まったく隙がない。最低でも2度おいしい思いができるということですから、作品に深くのめり込めます。
化物語のストーリーは基本的にほぼ不死身の主人公阿良々木君が無茶をして、憑き物に生活を侵されているクラスメイトや後輩やらを助けるように行動をする。といったシンプルなものです。しかし私の場合、そんなストーリー展開のことにはほとんど注意を払わず、とにかく耳に気持ちがよく脳に愉快な刺激を与えてくれる言葉遊びと会話劇に夢中になっていた気がします。
何より言葉の猛襲に重きを置いてみていましたが、かといってアニメとしての特徴を失っているわけではなくて、会話を壊さぬように演出が施されていたのですね。動きが少ない場面もありますが、それゆえにここぞというところでの登場人物の鮮烈なポーズなどが引き立っていました。たしか、3話に一回くらい激しいアクションシーンがありますが、これも非常に見物です。なんといっても主人公は無茶をするだけで強くはないので、やられっぷりが圧巻。
以上が大まかな印象でした。たしか私が観たのは結構前ですけど、面白すぎて3回くらい見たような…。コメンタリー(副音声)で見るとどうしてももう一度見たくなる誘惑に駆られましたね。私にとってはこの言葉の応酬がなぜかセラピー的な快感で何度でも見たい(聞きたい)アニメです。