あんにゅい さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 1.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
SFと秋葉原と厨二病
私は原作ゲームをプレイ済みでの視聴でした。
原作ゲームのキャラクターはhukeさんがデザインしていて、これがすごく好きでだったんですがアニメは少々デフォルメされたというかのっぺりとしてしまったようですね。hukeさんが描くものに宿る独特の世界観が、物語のシリアスさを盛り立てているように感じていたため、アニメの作画の評価は高くできませんでした。
ストーリーは、言うまでもなく面白いです。
定番のループものですが、定番の強みで非常に安定してメインのストーリーが進行していくので、その他のガジェットがいい仕事をしていたり、秋葉原という町そのものをうまく使ったり、厨二病やコスプレや男の娘や天才ハカーなどのオタク文化が自由にその魅力を発散していたような気がします。
衝撃的なストーリー展開とオタク文化と秋葉原が高いレベルでマッチしていたと思います。
それと、牧瀬クリスというキャラクターが非常によかったです。
個々の登場人物はみな何かしらオタク的な洗礼をうけたような個性がみなぎっていて大変魅力的です。しかし、牧瀬クリスは栄誉ある経歴のためか、実際はオタクにずっぷりと足を突っ込んでいるくせになぜか素直に認めません。素直になれないという事は、それだけでツンデレにもなり得るし、その頑固さがほころびを見せる瞬間を考えるだけでもwktkですよね。
ですが、ツンデレ的な魅力だけで彼女はとどまらずに、ストーリー展開とともに彼女の思いやりの深さや、抱えている悲しみ、たまに出る厨二的な痛さなどが明らかになっていきます。こうして次第に彼女は物語の一要素としてのキャラを超え複雑な心境を抱える一人の生きた人物のように思われてきて、胸に迫ってきます。
そして、結末には世界と運命的にはハッピーエンドが用意されていますが、果たしてラストシーンの牧瀬クリスはどういう心境だったのかと、思うとなかなか感慨深いです。
ストーリーのテンポがよく、舞台である秋葉原とオタク文化に通じるキャラクターの魅力とに愛着がわけば湧くほど、終わってしまうとなんとも切なくなりました。
原作プレイしたのが3年前くらいでアニメも同時期に見たので、今思い出してみても印象深くとても心に残る作品でした。