かしろん さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
胸を張って
アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされて話題に。
GWにBSプレミアムで放送されていたのを見て。
【生まれ持った】
{netabare}絵本のような絵柄の約20分の物語。
表向きは、仕事、イジメ、友情、環境問題などを描きつつ、捉えやすい構成。
キャラクター配置
人がパッを浮かべる動物の印象をそのままキャラにしてる。
短いお話でこの辺をひねるとややこしくなるので、極めて単純に。
ブタ:醜い・汚い・ドン臭い
キツネ:利口・スマート・狡猾
ワニ:獰猛・目付きが悪い
ブタくんがキツネくんに裏切られるシーンも、キツネなおかげで見てるこちらも
「キツネならやりかねない」
と思ってしまうからね。
ダムキーパー
シンプルなダブルミーニング。
ブタくんの仕事であり、
ブタくんの溢れ出る負の感情を押しとどめるキツネくんのことであり。
非常に分かりやすく捉えやすい内容なんだけど、ちょっと考えちゃうことがある。
それは、ブタくんにとってのダムキーパーって何?ということ。
仕事?
報酬が無い。
義務?
果たしても権利を得れるわけじゃない。
また、どちらとしてみても、やらなかった時のデメリットもないんだよね。
ブタくんが街を守っているなんて誰も知らないから、煙が街を襲っても、サボった
ブタくんを攻めることもないし。
そうやって考えると、生まれ持った能力や個性みたいなもんなのかな、と思うと
ちょっとシックリきた。
ブタくんはダムキーパーの仕事をしている。
風車の中は真っ黒な煙やホコリだらけで、仕事をする度に汚れてしまう。
それを気にして、ブタくんはうつむき加減だ。
キツネくんにはスケッチブックに絵を描くという能力がある。
黒で描かれたスケッチブックの中身は黒いし、絵を書いた手も黒く汚れてしまう。
だけど、キツネくんは人気者だ。
もし、キツネくんが、誰とも話さず、スケッチブックにのみ向かって画を書いてる
子だったら人気者だっただろうか。
つまり、人の有り様を決めるのは、生まれ持った能力や個性だけじゃない。
それを受け入れた上でどう生きるのか。
ブタくんだって、胸を張って生きていれば、きっと明るい何かが待っているはずだ。
彼の将来に、幸、多からんことを。{/netabare}