キョウスケ さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
リアルロボットvsスーパーロボット
アルドノア・ゼロは地球対火星(バース帝国)の戦争を描いたロボットアニメである。いろいろな要素が盛り沢山に詰め込まれていて、まずは学園モノの要素から始まる。
主人公の伊奈帆はどこにでもいそうな草食系の高校生だ。戦時下の高校生は予備軍人としての兵科教練があり、地球側のカタクラフト(ロボット)訓練を受けていたが、火星の攻撃が始まり、戦争に巻き込まれていく。
地球連合軍のカタクラフトはリアルロボット、つまり量産機だ。火星のカタクラフトはスーパーロボットで、すべて一品物。アルドノアドライブなどという超技術でそれぞれ、とんでもない必殺技を持っている。なんでも吸収する次元バリヤとか、何でも切れるビームサーベルだとか、分子構造を並べ替えて壊れないロケットパンチだとか、果ては重力や熱量を操ったり、ロボットが分身したりする。しかも光学的な見せかけでなく、全部本物の分身。リアルロボットが勝てるわけがない。
しかし主人公はむちゃくちゃ強い。正規の軍人が制式機で倒せない相手を訓練機で次々と倒していく。
制式機であるアレイオンの旧式機で、訓練用に高校に払い下げられているスレイプニルに乗った主人公が、火星側のカタクラフトを次々に倒していく。地球連合軍のカタクラフトは歯も立たずにやられていくのに、伊奈帆だけは、弱点を見つけ倒していく。他の地球連合軍は伊奈帆の引き立て役である。
俺TUEEE系が苦手な方には、もうひとりの主人公スレインがいる。薄幸の美少年で、地球出身なのにバース帝国のお姫様に惚れたために火星側で戦いに巻き込まれる。しかしお姫様は伊奈帆と仲良くなって惹かれていく。スレインかわいそう。つまり、ふたりの主人公とヒロインの三角関係物語でもある。
火星側カタクラフトのパイロットである火星騎士はアルドノアドライブを持っていない地球連合軍と戦争しているのではなく、火星騎士同士の手柄争いをしている。バース帝国の火星騎士たちの政治トラマがある。お姫様を思い続ける一途なスレインはその思惑に翻弄されていく。
学園モノ、俺TUEEE系、戦争モノ、三角関係恋愛モノ、政治ドラマ、いろいろな要素が絡み合う作品だけども、一番の見所としてはリアルロボット対スーパーロボットの戦いだと思う。
他のロボットアニメではリアルロボットとスーパーロボットを同じ世界で登場することはあまりない。戦いにならない。超能力、必殺技を持っているスーパーロボットにリアルロボットが勝てるわけがない。でもこの作品を見たら、そうではないと思った。
強さの裏側には必ず弱さをはらんでいるということ。つまり絶対的な強さなんてものはまやかしで、強い部分があるとその強さが弱点にもなりうるということでした。
それにしても、界塚伊奈帆とか、網文韻子とか活字にしないと伝わらない設定ってなぜなんだろう。