「薄桜鬼(TVアニメ動画)」

総合得点
76.3
感想・評価
994
棚に入れた
5449
ランキング
722
★★★★☆ 4.0 (994)
物語
3.9
作画
4.0
声優
4.1
音楽
3.8
キャラ
4.1

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

新選組を題材にした乙女ゲーム作品。新選組ファンタジーとしては非常に骨太、あと桑島法子ヒロインかわいい♪

オトメイトの乙女ゲーム原作、現在3期まで制作されている人気作です。
主人公の美少女・雪村千鶴(ゆきむらちづる)ちゃんが、新選組のイケメン達と共に、激動の時代、彼らの生き様を体験する…
若干の奇譚要素ありつつも、新撰組の史実にかなり忠実なシナリオが特徴。
十人十色なイケメンにときめくもよし、(男子的には)大和撫子な千鶴ちゃんに萌えるも良し。

※レビューは2期の「碧血録」(へっけきろく)まで纏めて書いております(3期は別途記述の予定)

{netabare}『物語』
時は幕末、場所は京都。16歳の少女・雪村千鶴が、とある事情で新選組と関わり、彼らの傍らで過ごし、新選組が関わる史実と奇譚交えた出来事に巻き込まれていく。
人間を吸血鬼みたいにして強化する生物兵器めいた奇譚要素もありつつ、かなり忠実に新選組の軌跡と末路を辿りつつ、その過程での隊士たちの生き様や散り様をカッコ良く描く。

主人子(女の子)が多数のイケメンと関わる乙女ゲーの基本を押さえた構図なんですが、千鶴ちゃんは居候の傍観者ポジで、イケメンを積極的に攻略していく感は薄めです。
逆ハーレム感は、イケメン多数から(若干)チヤホヤされつつも、あまり深くは踏み込まないので、感覚としては「新選組隊士の中に、女の子が仲間として自然に溶け込んでいる」雰囲気…を(千鶴ちゃんに感情移入する場合は)追体験できそうです。
逆ハーレムよりも、新選組の友情や絆重視、千鶴ちゃんの(良くも悪くも)存在感の薄さも、新選組のドラマを邪魔しない意味で良いのかな。

前半の方は、気の置けない隊士たちの仲の良い雰囲気。
BL要素は薄く、男子の日常系な感じ、そこに大和撫子な美少女も加わるワケで…
これが良いんですな。

乙女ゲーにしては、流血含めた剣劇バトルが良いのも強み。
羅刹化などで超人バトルっぽい要素もあり、バトル面でも見せ場多かった。


でも、史実の新選組の軌跡通りにシナリオ進行するので、別れは避けられず。
ここに「変若水(おちみず)」「羅刹(らせつ)」の伝奇奇譚を加える事で、巧みに辻褄を合わせつつ、史実よりもドラマチックさを増す脚本上手いです。
(史実では早期に死んだハズの隊長格が実は…とか…)
この伝奇要素が、新選組の悲劇性や男たちの壮絶な生き様に拍車をかけ、彼らと関わる千鶴ちゃんの揺れ動く胸中、迫られる選択、彼らを想う心の叫び…名場面多かったです。
確かに千鶴ちゃんは無力で、積極的に物語に関われる立場ではないけれど。
それでも、いつも傍で彼らと過ごし、彼らの生き様を見てきた。
無力なヒロインでも、全力で新選組と共にあった千鶴ちゃんなればこそのドラマが、たしかにありました。

2期(碧血録)は、戊辰戦争で幕府軍と新選組が追い詰められていく史実をなぞっており、1期前半のような日常系をやる余裕もなく、散りゆく男たちの悲壮なドラマが加速していく。
土方さんとの別れは特に切ないです…。



…以下、難点を。
史実を(忠実とはいえ浅く)なぞる大筋のストーリー自体は、可もなく不可もなし。
2期は戦争なので戦記物っぽいのですが、戦記としてはイマイチ(まあ乙女ゲーなので求めてない要素ですが)。
なので歴史物や戦記としては、まぁまぁといったところ。
千鶴ちゃんの存在感。
意外とラブコメの波動は終始感じない、健気な大和撫子がイケメン達に分け隔てなく接する感じ、名場面は多けれど、大きく盛り上がるシーンはあまり無かったり。
…土方さんとのシーンがベストシーンでしょうか。
もっとも前述のとおり、千鶴ちゃんの中立性もまた本作の特徴かも。
また千鶴ちゃんは鬼の姫としてメインヒロインの資格十分ながら、そこは十分活かせてなかったのも残念。



『作画』
千鶴ちゃんが超かわいい。1期の和服も、2期の軍服も。超好みなので高評価。
イケメン達も含めキャラデザかなり良いです。
流血も含めた殺陣も迫力十分。不知火のガンアクションが派手。
京の街の風景も、舞い散る夜桜も美しい。

『声優』
千鶴ちゃんの桑島法子さんの可憐さ絶品です。桑島ボイスだけで視聴する価値がある程。
新選組もそうそうたるイケメンボイス揃い、土方の三木眞一郎さん、沖田の森久保祥太郎さん、斉藤一の鳥海浩輔さん、藤堂平助の吉野裕行さん、原田左之助の遊佐浩二さん等々。
近藤さんの大川透さんの温かみ、山南さんの飛田展男さんのマッドっぷりも抜群。
この他もいぶし銀の実力派多数。若手会津藩士の石田彰さんも良かった。

伊藤葉純さん、石川綾乃さんはどちらも本作が代表役、好演です。
…風間の津田健次郎さんは遊戯王の海馬瀬人のイメージが強烈w


『音楽』
1期2期共にOP・EDは切なくも美しく力強い和風の良曲。
BGMも含めてかなり良いです。ゲーム原作は楽曲良い作品多い。


『キャラ』
本作の評価は主人公にしてヒロイン・雪村千鶴ちゃんをどう見るか次第でしょう。
和風のビジュアルと可憐な桑島ボイスな美少女、性格は奥ゆかしくも時に凛とした強さも見せる。
…ネットの評価によると、どうも女性からは敬遠される傾向にあるっぽい?
無力なクセに出しゃばってイケメン達の足を引っ張る足手まといヒロイン。
という側面は確かに否めないです。

…でも、そこまでひどいですかねぇ?
無力なのは仕方がないし、ピンチは不可抗力な場面多いし。むしろピンチになるのはヒロインの大事なお仕事でしょう。
2期は伝令役を立派に務めたり、毅然として運命に抗う強さは、十分ヒロインしてたような。
戦犯っぽいのは、情が深すぎて仲間を中々見捨てられなかった事で結局足を引っ張った場面くらい。
うーむ、心優しい少女としては不自然じゃないと思う。むしろ長所。
物語の根幹には関われぬのは立ち位置上織り込み済みだし。
常に状況に流される主体性の無さも、乙女ゲーヒロインとしての役割なのでは。

魅力は大和撫子(あるいは乙女ゲーヒロイン特有?)な奥ゆかしさ、隊士たちを本気で思いやる優しさ、状況に流されつつも、きちんと自分の意志で新選組と共にある事を選ぶ強さ。
強いヒロインです。
というか、可愛いから大丈夫だ!

新選組の絆を、やや引いた位置から分け隔てなく交流する立ち位置上、やや存在感は薄いかも。
けれどそこも含めて、男たちのドラマに華を添えている、良いヒロインだと思う。


新選組は、史実や幾多の創作で積み上げられてきたテンプレ・ステレオタイプを踏襲出来る強みあり、キャラをイメージし易いです。
概ね新選組のイメージ通りなイケメン達。ヤンチャな平助君、寡黙から少しデレる斉藤一が良いキャラしていた。
苦悩する山南(さんなん)さんも印象強い。最期の見せ場、ドンデン返しで土方との絆見せたシーンは名場面。
井上源三郎、山崎烝(すすむ)、島田魁らもいぶし銀の名場面あり。
…イケメンの筆頭格は、やはり土方さんですかね。
敗軍の将として最期まで戦い、千鶴ちゃんからも深く想われるに足るサムライでした。カッコイイ!

幕府軍では大鳥圭介が若いw
ちゃんと気骨のある人物に描かれていて好印象。
また、最初は土方に反発していたが後に和解する会津藩士・正木時茂も。
新選組に限らず気骨のある男多い。

鬼の頭首・風間千景は声と態度が遊戯王の海馬社長っぽい。格上の強敵でした。
天霧と不知火もバトル面で活躍、不知火は原田との友情萌えもとい燃えました。
南雲薫は…千鶴と縁の深い重要な敵でしたが…本懐遂げたとは言いがたい。
千姫は千鶴ちゃんの姉ポジ、可愛かったのですが鬼にまつわるドラマはやや足りない。{/netabare}

投稿 : 2016/07/09
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サンキュー:

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