狗が身 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
涙は、舞い上がったのだ。
1クールの恋愛群像劇としては本作が一番好きかもしれない。
キャラクターの生々しさがなんとも言えないんだよねぇ…。
僕は本作を通して三周ぐらいしてるんだけど、見るたびに発見があるというか、最初は嫌いだったキャラクターの言葉にしない内面とか、言葉に込められた想いとかが伝わってきて、どんどん愛着が湧いてくるんだ。
湯浅比呂美とか主人公の母親とか、嫌みな女にしか見えなかったけど、今ではどっちも大好きですw
眞一郎争奪戦では一歩引いた形だった愛ちゃんだけど、彼女にしたい女ではNo.1だと思います。三代吉が惚れるのもありゃ分かる。んで愛ちゃんが三代吉に最終的に向き合ったのも分かる。
三代吉の姿って、同性が見てカッコ良いって思えるんだよね。応援したくなるというかさ、他人事とは思えないというか…。
眞一郎が最終的に選んだ彼女は比呂美だったワケだけど、個人的には眞一郎と乃絵ってお似合いなんだよなぁ。お互いにとって励みになるというか、助け合える関係?
でも一番報われて欲しいと思えるのは比呂美なワケで、ここが本作の憎いところで、結末に関心を持てない人物が誰一人いなかったんだ。
考えてみれば、比呂美の境遇って悲惨だものな。
両親を事故で亡くして、異性として意識していた眞一郎に救いを求めて転がり込むけど、そこの母親に冷遇された挙げ句に眞一郎とは兄妹かもしれなくて、こうなってしまえば眞一郎の父の「比呂美はうちの子だから」すらなんの慰めにもならない。つうか追い打ちみたいなもんだし。
比呂美がああやって嫌みなこと言ったりするのも、根が明るくて芯が強いからこそ、なんだよな。そうじゃなかったらとっくに心がまいってしまって、もっと感情の起伏に乏しい陰気な感じになってるだろうし。
諦めようと思っても諦められないからこそ、ああなってしまうんだろうなぁ。
本作の名シーンと言えばおそらく大体の人は、眞一郎がトラックを追いかけるシーンを挙げると思うのだけど、僕はもう一つ、押し入れで眞一郎が独白するシーンを挙げたい。
この直後の「おぎゃあ…おぎゃあ…!」と産声をあげるのが素晴らしい演出だった。
トラックのシーンで呟いた「全部ちゃんとするから」という眞一郎の意志が、この台詞にしっかりと感じられたからだ。
少し重めの雰囲気だけど、僕は大好きです。