「シュヴァルツェスマーケン(TVアニメ動画)」

総合得点
64.1
感想・評価
326
棚に入れた
1678
ランキング
4005
★★★★☆ 3.4 (326)
物語
3.3
作画
3.4
声優
3.4
音楽
3.4
キャラ
3.3

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

雪原に染み広がる赤の広場

原作小説は未読。
派生元の18禁PCゲーム『マブラヴ オルタネイティヴ』も
そのまた派生元の18禁恋愛ゲーム『マブラヴ』も未体験。

ですが以前よりエロだけでなく容赦なきグロでも18禁の栄誉を獲得した、
『~オルタネイティヴ』の武勇伝はかねがね耳にしており……。
また、『シュヴァルツェスマーケン』の舞台となった旧東ドイツの
悪名高き秘密警察組織「シュタージ」のゲスっぷりに関する余計な歴史知識もあって……。

ガッチガチにガードを固めた最警戒の構えで本作を迎え撃ちましたw


先の大戦、独ソ戦にて……。
ソ連の民は前から圧倒的軍事力で押し寄せてくるドイツ兵。
逃亡すれば後ろからスターリンに粛正される阿鼻叫喚の地獄を見たと言う……。

本作の未知の生命体BETAの大群と、いちいち万単位で繰り返される増援。
背後のシュタージの監視、彼らへの密告、裏切り、粛正……。
見ていてパラレルワールドとは言え、
共産主義体制下で総力戦に挑む羽目になった民の絶望感が存分に伝わってきました。


ラストに至っては{netabare}BETAとの戦闘はおまけで、
ほぼ東ドイツ中枢、人類同士の内ゲバに費やされる醜悪極まりないストーリーw
人類滅亡の危機をも権力闘争に利用する。
それを阻止しようと革命をぶち上げる主人公らにしても、
結局、力で権力を奪い合う連中に過ぎないという冷めたテイストw
まったくもって茶番劇ですが、その雪原の寒々しい空気から、
瀬戸際でも一貫して愚かな人間の性を痛感できた。
個人的には実に苦味が効いたいい毒物でしたw


あにこれにやって来て、ようやく苦手の妹属性を克服しつつあった尊氏にとって、
本作は妹面でも大いに試練を与える作品でしたw
共産主義という妖怪は妹をも破壊するのと言うのか!
拷問と洗脳とヤンデレのコラボレーション……なかなかのトラウマでありますw{/netabare}


本作の放送期間中、たまたまNHKスペシャル『新・映像の世紀』を拝見する機会があって、
リアルのシュタージが構築した監視・密告社会の一端が紹介されていました。
インターネットもない冷戦時代に国会図書館のような巨大データベースに、
狙った個人を抹殺できるスキャンダルを逐一記録したその異様。
本作でもそのデータベース施設を描写したシーンがあり、
情報の怪物・シュタージの恐怖を存分に感じることができました。

共産主義は情報や宣伝を武器として勢力を拡大した、そういう意味でも進歩し過ぎた体制。
情報を見すぎるあまり、人命の増減が統計になってしまった破滅の理想郷……。

原作をすっ飛ばし過ぎとの評もあったハイペースな本作に乗りながら……。
灰色のドイツの雪空の下、走馬燈のように過ぎていく殺戮シーンと共に、
脳内BGMで『映像の世紀』テーマ曲「パリは燃えているか」を反復しながらw
BETAに引けを取らない人類の化け物ぶりに顔をしかめた、
凍えるように色んなところがよく冷えるアニメでした。

投稿 : 2016/05/09
閲覧 : 343
サンキュー:

21

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