狗が身 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ポケモン映画史上最高傑作。
タイトルの通り、私の中では本作こそがポケモン映画史上最高傑作でございます。
内容の深さで言えば【ミュウツーの逆襲】に一歩劣る面こそありますが、なんと言いますか、本作は映画としての面白味が素晴らしいのです。
なんと言っても本作の舞台となった水の都アルトマーレの美しさ!
挨拶が「チャオ」なのも頷けるオシャレな街並み。煌びやかな街の様相も、一歩道を外れれば途端にジブリ作品にありそうな素敵な迷路。
そして幻想的なBGMが舞台を美しく彩ります。
ストーリーの方は、兵器を悪用した人間の行いによって崩壊の危機を迎えた街を、一匹のポケモンがその命を犠牲にして食い止めるという、前作に引き続き悲しい物語。
前作と違うのは、敵役が生粋の悪党と言い切れないところでしょうか。
ラティオスとラティアスの力を用いることで起動する街の防衛兵器を悪用としたリオンですが、元々は兵器の存在に興味があった程度で、それ以上の目的は持ち合わせておりませんでした。
それが、実際の兵器の機能を実感していくうちに、どんどん欲が出ていきます。
街の支配者から世界すら支配できる、と段々口にしているセリフが過激になっていきましたから。
元は純粋な願いで造られた機械も、使い方一つで兵器になるし、それを扱う人間もまた、その心はどちらにも傾く可能性がある。
悪意がなくとも悪行は行われる時があって、それによって犠牲になる命もある。
そのやりきれない感情を洗い流してくれるのが、ラストのキスシーンでした。
あれってどう考えてもカノンなんですよねー……。
いやー、良い映画を観させてもらいました。