oneandonly さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
独特の世界とキャラに面白さが滲み出てくる作品
世界観:7
ストーリー:8
リアリティ:7
キャラクター:7
情感:6
合計:36
大学三回生の「私」は、薔薇色のキャンパスライフを夢見ながらも無意義な2年間を過ごしてきた。
入学した時に数あるサークルの中からテニスサークルを選ぶが、会話も出来ずに居場所を失くしていく。そこで同じ様な境遇の小津と出会い、サークル内外で人の恋路を邪魔をする「黒いキューピット」の悪名を轟かせることに。
小津と出会わなければ黒髪の乙女と薔薇色の人生を送っていたに違いない! もしあの時違うサークルを選んでいたならば……。
(公式サイトより)
文化庁メディア芸術賞アニメーション部門の大賞(2010年)に選ばれた作品ということで視聴しました。この大賞は、過去に時をかける少女が受賞しているので、この賞自体を重く見ているわけではありませんが、翌年にまどマギが大賞を受賞していますし、教養として必要だと思ったところです。
{netabare}序盤は大学生の主人公が、入学時に様々な部活・サークルに選んでいた場合のパラレルワールドを描いています。テニスサークル、映画サークル、サイクリング同好会、樋口師匠の弟子、ソフトボールサークル、インカレ英会話サークル、ヒーロー同好会、読書サークル等ありますが、登場人物はなぜか同じような面々で、物語に複雑に絡まってきます。この点はリアリティに欠けているのですが、結局のところ、どんなサークルを選んでも、その人なりの人間関係しか作れずに大差ないキャンパスライフとなってしまうという部分はある意味リアリティがあります。
人生やり直せたら、あの時違う選択をしていたら、と思ってしまうのが人間ですが、前向きに捉えてよいのだというメッセージを感じられる作品です。
特に面白かったのはジョニーが出てくる6話、いくつか気になっていた出来事(1000円札ばかりの大金が入手できたシーンや、主人公らしき髭もじゃ男が現れたシーン等)を回収する10話、小津の存在を良い意味で認めることになる11話ですね(小津が可愛い存在に見えてくる不思議)。
まあ、小津よりも明石さんの存在はこの作品になくてはならないですね。明石さんはどの話でも理知的な変わり者で、萌えではない角度からの魅力があります。
全体的には、3択にラブドールが入っていて、それを選ぶ7話はあり得ないと思ってしまいましたが、ラスト2話の出来で挽回。{/netabare}台詞が多いところは化物語を思い出しましたが、こちらは多くが主人公のモノローグであり、文芸方向でも評価できそうな台詞回しで特に違和感はなかったです。
そういった台詞と独特のアニメーションが作品の世界観に嵌まっていると感じられる良作ですね。
(参考評価推移:3話4.0→6話4.2→10~11話4.3→調整4.2)
(2016.4視聴→2017.6調整)