RFC さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
アニメの見方が変わる作品
友人に勧められて視聴しました。
【作品概略】
業界裏側アニメですね。
アニメのつくり手を描いた作品です。
高校のアニメーション同好会だった5人が
業界に入って四苦八苦しながら成長してく作品です。
【作品に対する感想】
アニメの見方が変わる作品ですね。
漫然と見ていたアニメも、こういう切り口を持つと
もっと楽しめると思います。
一気見してしまうほど、のめりこめた作品です。
すごく前向きになれます。
アニコレに在籍する方になら、間違いなくお勧めです。
1)物語
挫折と苦悩と達成感を味わいながら
ほんの少しずつ前に進んでいきます。
定番ながら、リアル(と思う)な描写に
とても魅力を感じました。
2クールを前半・後半に分けて、2作品を
世に送り出していくストーリーとなっています。
良くも悪くも人との出会いで変わっていくさまが
描かれています。良い出会いは+に、悪い出会いを
悪いまま受け入れた人はマイナスに。
2)声優
ほとんど知らない人ばかりで世代交代が進んで
いるのだなと感じます。ただ、演技自体は安心して
聞いていられたと思います。
子安さんは相変わらず変な人を演じても凄いですね。
3)キャラ
魅力的な人が多いんですが、
主人公宮森あおいがぶっちぎりで好きでした。
{netabare}
とあるの御坂美琴にちょっと似ているから
かもしれません。二十歳頃の美琴もこんな感じに
なってくれたらいいなあ(妄想)。
みんなそうなんですが、この娘むちゃくちゃ
ガンバリ屋です。自分では「何もない」と自分の在り方を
迷っているようですが、明るく、人を引き付けて味方にする
彼女の魅力は他の誰もが持っていないものと思います。
そして異なる立場同士で衝突した時の
妥協点を見つけるのも上手いです。
さらにスケジュール管理能力はホントに1作目ですか?
というぐらい凄い。
とどめに人間出来てます。
私ならタローは3話で墓の下です(笑
だからこそ中盤から「屋台骨」「エース」と
呼ばれ出したのでしょう。
{/netabare}
後輩の今井みどり(ディーゼルさん)も魅力的でしたね。
私がメガネキャラに対し5割増しで魅力を感じるという点を
差し引いても…多分。
いつも超々前向きで明るく、
「頭と心の財産ッス」は名言と思います。
どつぼスパイラルに陥ることが多い絵麻っちも、
頑張りやで好感が持てました。
「もっと肩の力抜いていいんよ~」
って言ってあげたくなりますね。
おっさん勢も山田さん、円さん、下柳さん、本田さん、
杉江さん…みんな自分の哲学や信念を持っていて
見習いたいですね。
社長に対しては最初「何やってんだこいつ?」と
首をひねっていましたが、後任を育てることに
注力してるから手を出さないのだと私は感じました。
4)作画
現実では当たり前の話なんですが、
皆さん服装がいろいろ変わって楽しめました。
あと背景の元ネタ探しは結構面白いです。
5)音楽
三女のPVの曲は勇壮でよかったかと
6)印象的なシーン
{netabare}
①回収時等の無駄に大迫力のドリフト
50km/hであり得ないカーチェイス。
頭文字なんとかを彷彿させられ、
ここに力入れる?って吹きました。
②パニックみゃー森 茶渋を取る
テスト前に勉強せずに掃除を始めるみたいなやつですね。
あれは「できなかった言い訳を作るための行為」
らしいです。
③タローの悪意なき悪行の数々
こいつなんでここにいるんだ?と
イライラしっぱなしでした。
この男は一生お幸せに生きていけるタイプですね。
まじめにやってる人の足を引っ張り、
モチベーションも下げる。
最悪ですね。
ただこんな奴でも平岡を改心させるのには
役に立ちましたね。最終話で社長訓示の後、
平岡がみんなと一緒に腕を上げているところは
「絶望の底からもう一度立ち上がろうとしてるんだな」
と感じました。
④3D VS アニメーター
こういう対立、どこでもありますよね。
誇りや前向きな向上心のぶつかり合いならいいんですが、
利権やら嫉みやらのぶつかり合いならもう最悪ですね。
今回の場合誇りのぶつかり合いだったので、
初心に帰ることで広い視点を取り戻すことが出来て
何よりでした。
(現実世界では利権や嫉み、虚栄心が原因で
ネチネチ無駄な足の引っ張り合いが続くことが
多いですが)
⑤杉江さんの絵麻へのアシスト
杉江さんみたいな人、居場所がなくて
結構きついと思うんですよ。
ベテランとして在籍しているものの、
変わってしまったアニメの世界と
世代交代が進んだ会社にね。
「自分の出来ることを」と絵麻を見守る杉江さんは
いい人です。
絵馬が井口を頼った瞬間、
そっと場を離れるシーンは印象的でした。
⑥みゃー森達5人の飲みっぷり
私が若かったころは女子もジョッキでぐいーって
行く人が結構いましたが最近はあまり見かけません。
ゆえにたびたび5人で飲んでるのを見て、
いいなーって思いました。
ジョッキ女子、いいですね。
⑦オーディション
「製作委員会」方式を取って、投資のリスク分散を
図っている現在のアニメ業界にとって避けられない調整。
出資者は慈善事業で出資してるわけではないので、
当然見返り(利益)が必要となります。
出資者にとってはアニメ自体の成功は
自身の利益を得るための一手段に過ぎないため、
他のステークホルダーと話がかみ合わないのは
よくあるんだろうなと想像します。
利害関係が絡み、優先順位が異なる人たちの会議では
日常的な風景と思いますので「あるある」って
笑えた反面、胃が痛くなるシーンでもありました。
ところで監督がキャサリン役にずかちゃん押したとき、
「ついに全員デビューか?」と期待しましたが、
持ちこしになったのは意外でした。
ずかちゃんにはとことん試練が与えられますね。
独りでビール4缶あけてる姿は
痛々しくて見てられませんでした。
⑧ちゃぶ台返し
初キャラデザの井口さんに完全感情移入しました。
方向性も示さずにダメ出しを繰り返すのは
バカのやることです。
少なくとも物事を前に進める気があるとは思えません。
ロロとミムジーが霧の中を歩くシーンに比喩されて
いましたが、やってる方はまさにあんな心情です。
どうやっていいか分からなくなるのは当然です。
ゴスロリ様がフォローして井口さんはつぶれずに
済みましたが、無能な担当者や上司
(今回の場合「変な話~」の人)が力ある人材を
食いつぶしていくのを見てると本当にイラつきますね。
彼はWin-Winどころか自分以外の
誰もを不幸にしていたわけですからね。
⑨ずかちゃんデビュー
ルーシーのセリフ
「今わたし、少しだけ夢に近づきました」は
ずかちゃんの声でもあるわけですね。
台本で隠しながらボロ泣きするみゃー森がええ娘やぁ…。
{/netabare}
7)その他
完成までの工程が長いため、関わる人の数が非常に多いです。
1周視聴しても、顔と名前と役割が一致しない人が多いです。
(特に役割は専門用語が飛び交う上、
途中でコロコロ変わるので)
私のように「OP/EDテロップは声優欄くらいしか見てません」
という人には予習が必要かもしれません。
公式サイトにも用語解説があります。
なおそれをカバーするために
・人物が登場するたびに名前と役割が
毎度毎度表示されていました。
・ミムジー&ロロ(ぬいぐるみ2匹)が解説してくれる
という措置が取られています。
テンポを崩さずにうまく対応できていたかと思います。