田中タイキック さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:----
3Kの子ブタ
2014年公開 上映時間18分
ピクサーでアートディレクターを務めていた堤大介とロバート・コンドウが独立し
トンコハウスというスタジオを立ち上げて作った短編アニメーション。
第87回アカデミー賞 短編アニメ賞 ノミネート
世界中が大気汚染に覆われた時代。汚染された大気から守るように大きなダムに囲われた小さな街。
そこで暮らす主人公の豚の少年は、汚染された空気をダムの外側に押し出すため、
風車を動かす仕事を毎日続けていた。ダム・キーパーとして・・・
街の平和と安定のためには誰かが必ずやらなければいけない仕事をしている主人公。
だけどそのことを街の人々は誰も知らない。
それどころか毎日風車を動かす作業は汚れて臭くなってしまうような仕事なので
主人公は周りからイジメを受けています。
いじめ問題、環境問題、仕事に対する姿勢。
短い時間の中で重厚なテーマがストレートかつ結構なえげつなさで語られていきます。
アニメーションはクレイアニメを思わせるような質感に動物キャラの可愛らしさ。
そして世界中が大気汚染されているという終末感の漂う雰囲気。
それらの要素が絶妙に組み合わさり他には無い魅力になっていきます。
途中、主人公の豚くんが人間不信に(人間じゃないけど)なる描写があって
この絵柄でかなりどぎつい演出入れてくるなぁと衝撃を受けました。
でも最後は希望で終わりますよ!子供が見ても大丈夫。
現実のいろんな問題に例えられる寓話的表現が多彩なので
それらを多くキャッチできる大人のほうがより楽しめるのは間違いないですけど。
本筋はベタで王道、だけど感じ取るものは見ている人で様々な変容を見せる。
予想外に良い物を観た。素晴らしい。
同作の長編アニメ化も決まっているようなので楽しみな限りです。