空知 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
感動の度合いは人によって違うと思いますが、観て損はないと思います
ネタバレ厳禁作品なので、具体的なことには触れません。
ご覧になる方は、一切の事前情報なしで観られることをお勧めします。
最初のシーンには少し驚きましたが、総じて良い内容でした。
ラストに関しては、意見が分れるところでしょうね。
言語だけだと刺激されない心の一部が、言葉+音楽の力によって激しく揺さぶられるためか、涙腺崩壊する人が多かったのも納得です。私も涙したシーンがありました。
岡田麿里氏の作品は、人と人とが激しくぶつかる場面があったり、そこから生じる人の成長を描くことが特徴の一つだと思うのですが、本作も似た要素を持っています。
絵はとても綺麗。音楽部分が実に素晴らしいです。声優さんは歌唱力もあり、演技も良かったです。
ただ少し演技力不足の方がいて、気が散ってしまいました。実力のある女優さんですが、女優・俳優が声だけの演技をするのは矢張り無理があると感じました。宣伝効果を狙ったのでしょうが、キャスティングミスです。
この作品の主題は「言葉」です。
言葉が人を救うこともあれば、時には死に追いやることもできるほどの力があることは誰もが知っています。が、日常生活において、我々は意外と言葉の持つ力の二面性を意識していないものです。そういう私たちに、立ち止まって言葉の大切さを考えさせてくれる作品です。
ほんの20年ほど前まで、私達はインターネットを用いて意見を述べたりすることができる世界を知りませんでした。しかし現在は、考えていることを電車に揺られながらであっても即座に世界に発信できてしまう時代です。文字だけが一人歩きしてしまう危険性や、タイピングされた文字列同士の対立が至る所に存在します。匿名性ゆえの残酷なリンチにも似たような状況も少なからず生じており、以前にもまして言葉に注意しなければならない今、言葉が持つ善悪の両面を改めて認識すべきだと考えさせられました。
この作品の副題は、"Beautiful Word Beautiful World"
主人公のような苦しい経験を、自分もしないよう、そして人にもさせないためにも、言葉には気をつけなくちゃいけないと感じさせてくれる作品でした。
必ず感動するとは約束できませんが、全く心動かされないということはないと思います。鑑賞して損はない作品だと思います。
再見して、何か他に感じることがあったら追記したいと思っています。