「がっこうぐらし!(TVアニメ動画)」

総合得点
81.7
感想・評価
1940
棚に入れた
9648
ランキング
399
★★★★☆ 3.7 (1940)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.7

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

本作は裏表のない素敵な日常系アニメ…です…?

芳文社「まんがタイムきららフォワード」の漫画原作の日常系(日常系とは言ってない)アニメ全12話です。
ネタバレ要注意。
………いや。最早ネタバレ回避に気を遣うのは無意味かもですが…。
2015年夏に放送された際、最大級の衝撃を与えてくれた話題作です。

{netabare}『物語』
可愛い女子高生4人組が学園生活部という部活動で仲良く楽しく学園生活を送る様を淡々とお楽しみ頂く日常系アニメです過度な期待はしな…r
……と見せかけて、実はゾンビ蔓延により崩壊した世界が舞台のサバイバル作品であった。
二重の意味で既存の常識を覆す異色の作風です。
まず、ゾンビパニック系としては、あまりにも呑気でほのぼのとしている。
さりとて日常系としては、崩壊してしまった世界で狂気に縋りつつも日常を謳歌する、楽しいけれどジリジリとした切迫感…。

世界観の絶望度と裏腹の日常系の危ういバランスで繰り広げられる物語、2014年冬アニメ「結城友奈は勇者である」と同種の怖さを感じました。
一見平穏な日常にジリジリと狂気が忍び寄る…「ひぐらしのなく頃に」の系譜でもありそう。
主人公・丈槍由紀(たけや・ゆき)の狂気「ゾンビで崩壊した世界を認識することを拒絶」を他3人が同調する事で形成される危うい偽りの日常……否、偽りとは言い切れない。
だって、彼女たちは、精一杯に日常を謳歌しているのだから。

なんといっても、第1話の衝撃が圧巻です。
1話の衝撃度は「琴浦さん」以上でした。
淡々と少女たちの日常……からの、真実。
この1話、振り返ると随所に伏線が仕込まれ、何度観返しても(このシーンはそういう事か!?)と衝撃の連続。
…この第1話に限定すれば、全アニメ史上でも特筆に値するのでは。

以降中盤までは、時系列をゾンビパニック発生の経緯で遡っていく。
ゾンビパニック物としては、中盤までが面白かったです。
徐々に明かされていく、崩壊への序曲。
その度に…第1話の意味が塗り替えられていく。
本作の構成は、数話かけて、ひたすらに第1話を強化していく異色の構成でした。
胡桃にとってのユキの存在や、ユキにとってのめぐねえ…
それぞれの立ち位置や心情が非常に丁寧。
めぐねえの想いが判明してくるたびに、胸を打ちます…。
…時系列は、パニック物としてならばイジらない方が良かったけれど、キャラクタードラマとしては大成功でしょう。

中盤以降些かテンポダウン、平常な日常系が続く…
この平穏もいつまでもは続かない事が予感出来るので、ジリジリと焦燥感…
…は、あんまり無いのがやや惜しい。
別に日常系自体が中だるみとは思わない。ただ、全体の流れの中で、やや活きて無いかな~?
学校のインフラが強力だったり胡桃ちゃんの戦闘力やバリケードが強固過ぎて現状維持も容易か…?と思わせつつ数話費やすのは良くなかった。
日常系も水着回も大いに歓迎なんですが…同時進行で崩壊への不吉な予兆は出してて欲しかったです。

※原作改変シーンでは。
原作での、りーさんとみーくんがユキの妄想を巡り一触即発になるシーン
りーさんが発症しかかった胡桃ちゃんをカイシャクしようと追い詰められるシーン
の2点が削られたのはちょっと寂しい。原作のハイライトとなる名場面ですので。
みーくんと圭ちゃんの他の共同生活者シーンは…別に省いてて良かった。

終盤は盤石な学校という聖域を強引に崩壊させるイベント(ヘリ墜落炎上)で、少女たちの日常系…がっこうぐらしも終焉を迎える。
偽り(いや偽りでもないか?)学園生活もいつか終わる事は予感されていた、モラトリアムはいつか終わる。
学園脱出前の卒業式は……泣けました。Angel Beats!の卒業式より数段良かったです。
高校時代は終わっても、彼女たちの未来は終わらない。
そこに希望はあるのか…絶望が待っているのか?
それは分からないけれど。みんながいれば大丈夫。
何とかなりそうな雰囲気…高校卒業という節目での旅立ちラスト良かったです。

総じて1話の圧倒的インパクトとそれを補強していく全体構成素晴らしい、中盤以降のテンポダウンが若干惜しいです。
とはいえ日常回も日常萌えとして楽しめますし、そこ差し引いても十二分に特筆に値するアニメではありました。第1話に限定すれば、5点満点を遥か超えてます。



『作画』
キャラデサの可愛さ申し分なし。
荒廃した世界描写も特に1話は鳥肌もの。
OPの変化にも度肝抜かれたです。
主に胡桃ちゃんのシャベルアクションも切れ味バツグン。
力任せではないシャベル格闘術の描写に注目。
ゾンビは比較的グロさ控え目な感じ。

『声優』
水瀬いのりさんの場違いな可愛らしさ非常にはまり役。
小澤亜李さんはボーイッシュなキャラも良かった。
高橋李依さんの真面目な感じも。
M・A・Oさんが絶妙、徐々に精神が蝕まれる過程が迫真でした。
茅野愛衣さんの深みのある母性も感じる演技も、めぐねえに命を吹き込んでいた。
加藤英美里さんの太郎丸も素晴らしい♪

『音楽』
OP「ふ・れ・ん・ど・し・た・い」のインパクト絶大です。
一見明るく無邪気で楽しい歌、だが歌詞のどこを取っても意味深な不吉さ!
単純に日常系アニソンとしても高水準な上に、本作の作風を恐ろしいまでに再現している。
「元気でーす!」の件は何度聴いても背筋がゾッとする…。
第1話の衝撃を以降に持続させるのに重要な役割果たした名主題歌。
複数あるEDの余韻もバツグンでした。BGMも素晴らしく、仮初めの日常と破滅の予兆感じさせてくれる。
楽曲面で最高評価死体もとい、したいです。


『キャラ』
4人全員役割あり誰一人欠けてもダメという理想のパーティー。
崩壊した世界の認識を拒絶し続ける丈槍由紀のインパクト大でした。
可愛さ十分、狂っているが、非常に優しい良い子…胡桃他に大事にされるのもわかる。
めぐねえとの接点であり、また本来結構賢い印象(勉強できるとは別の意味で)。
ある意味学園生活部の切り札であり、精神的支柱。
由紀がいなければこの作品もコミュニティーも在り得なかった。

学園生活部のエース胡桃ちゃんは(多分)本作一番人気キャラなのでは?
ごちうさのリゼちゃんやきんモザのあややっぽい…
随一の武闘派、シャベルを得物にゾンビ倒しまくる!強い!
がさつに見えて意外と繊細に他者の気持ちがわかる優しさも好印象。

学園生活部のリーダー格、りーさんは頼れるお姉さんであった。
おっとりした美人だが怒らせると一番コワイ実力者、縁の下の力持ち…でも実は一番精神的に脆いところも萌える。

学園生活部のスーパールーキー、みーくん。
真面目な優等生で常識人、当初は唯一のツッコミ役か…ユキとの交流で心通わせていく流れが良かった。
親友の圭との辛い経緯など、本作のシリアス一人で担当…しつつ、やっぱり学園生活部のノリに馴染んでいく可愛い。

太郎丸は原作から大出世、終始学園生活部のマスコットでした。
みーくんに懐かぬのは理由が…。
最期の活躍は胸打たれる…立派だった。

めぐねえ………せつねえ…。
本当にステキな良い先生にして良き大人であった。大人としては若すぎた、もっと生きていればきっと…。{/netabare}

投稿 : 2016/04/24
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サンキュー:

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