Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
時代の移り変わりと・・・名前の大切さを感じる作品・・・
この作品の原作は未読です。正直この作品がアニメ化されると知った時には視聴を迷いました。
これまで落語の世界とはあまりも縁遠い生活をしてきたので、落語の面白さが理解できないと思ったからです。
落語の物語で落語が分からなかったら・・・一体何を見るのだろう^^;?
これまで落語そのものを題材にした作品は見た事がなく、唯一ホンの少し関係すると言ったら「じょしらく」を見た程度・・・
でもあのじょしらくは落語よりも楽屋での会話が殆どでした。もともとじょしらくの位置付けが「女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただくモノ。」という設定なので落語に殆ど軸足を置いていないんですよね^^;
そのため「お後が宜しいようで・・・^^」と言ってそそくさと楽屋に戻る姿しか落語に関するシーンは覚えておりません^^;
まぁ、じょしらくはガールズトークを楽しむ作品だったので思い切り笑わせて貰いましたけれど^^
でもこの作品はジャケットを見る限りギャグではなく、本気で落語に向き合う物語という雰囲気が漂っています。
でも物は試しです・・・「色々考えるくらいなら視聴する」の心情の下、視聴をする事にしました。
この物語の主人公は、刑務所帰りの元チンピラである強次・・・彼は刑務所服役時に八代目有楽亭八雲演じる「死神」の落語を聞いて以来、落語の虜になってしまいました。
出所した強次が真っ先に向かったのは、八代目有楽亭八雲のところでした。
これまで一切弟子を取らなかった八雲は、強次の自分への・・・いえ、それより落語への熱意を感じ取り付き人として八雲の家で住み込みで働く事になったのです。
ところが、八雲の家には住み込みの先輩・・・八雲の養女である小夏が住んでいました。
小夏は早くに亡くなった落語家二代目有楽亭助六の実の娘でもありました。
そこで、強次は八雲師匠以外の落語・・・助六の落語を目の当たりにするのですが、それは同時に八雲と助六の過去を知る事でもありました。
「んじゃ1つ、おまえさん方に話して聞かせてやろうか・・・あの人と私の約束の話を・・・長げぇ夜になりそうだ・・・覚悟しな」
八雲がこう切り出し・・・物語が動いていきます。
菊比古と初太郎・・・これが八雲と助六の二つ目時代の名前です。
二人が同時に先代の7代目八雲に弟子入りするところから物語が始まります。
折り目正しく真面目で几帳面・・・芸に対する努力を怠らないのが菊比古だとすると、初太郎は芸への思い入れを除きすべてが菊比古とは真逆・・・対照的な性格の二人でした。
性格が真逆だと演じる芸もおのずと真逆になる・・・
そしてそれは時として「自分に無いもの」として煌々と輝いて見える時があるのも人間なら仕方の無い事だと思います。
体調や感情だって機械じゃないのだから常に一緒という事はありません。
時にスランプの時に多いと思うのですが、人が羨ましく見えて自分の出来の悪さに愕然とした時・・・無意識のうちに言い訳を探してしまう事ってあると思います。
「Aさんは自らこの世界でやっていきたいと願ってきたからAさんの今があるんだ・・・私は自分から好きでこの世界に入った訳じゃないからAさんとは意気込みが違うし・・・そもそも持っている才のレベルが違う・・・」
自分に対する醜い下手な言い訳・・・
そこで自分を正当化してしまうのはそうしないと平常心が保てないから?
どう自分に言い訳しても、自分の戦う場所から逃げ出しても結局自分に還ってくるだけなのに・・・
言葉にすればとても短くいかにも簡単そうですが・・・気付く事も実践するのも難しい事だと思います。
まして若いうちなら尚更です。
でも菊比古と初太郎・・・弟子入りしたのが二人で良かったと思います。
それは相手がいると目標がより明確になるから・・・
たくさんの紆余曲折を経てきました・・・相手への妬みは燻り続けていたのかもしれません・・・
それでも熱心に落語に打ち込めば打ち込むほど実力が付いていくのもまた事実・・・
気がつけば菊比古と初太郎もあっという間に寄席の人気者になっていました。
長い下積み生活を経て、今じゃ寄席ではなくてはならない人気者・・・
きっとここまでの軌跡を丁寧に描いたら二人の成長物語になると思います。
でも、ここで終わらないのが人生なんですよね^^;
ここで菊比古と初太郎は人生における大きな選択を迫られる事になります。
彼らが何を選択したか・・・そしてその選択の結果は・・・?
気になる方は本編でご確認頂きたいと思いますが、それぞれの性格が良く出た選択をしたと思います・・・どちらにせよ波乱万丈である事に変わりは無いのでしょうけれど^^;
ここまでの波乱万丈は過去完了系・・・ですが、現在においても八雲の周りにおいて新たな波乱万丈が生まれようとしていました・・・というところで物語は2期に繋がっていきます。
新たに芽吹いた蕾がどの様な大輪の花を咲かせるのか・・・続きが気になって仕方ありません^^;
1クール13話の作品でした。
落語の事は正直良く分かりませんでしたが、落語の事を知らなくても堪能できる作品だと思います。
ただ分かったのは、噺家さんが自分の全てを出し切ってお客様に伝えようとする努力や気迫を怠ると、相手には伝わらない、という事です。
菊比古も初太郎も・・・全力で伝えようとしていました。首筋を流れる汗を何度見た事か・・・
でもこれって仕事においても全く同じことが言えると思います。
中途半端じゃなく、やるからには満点を目指して全力投球する・・・そう考えると、いつの時代もどんな職種も根っこの部分は変わらないんですね^^
そう考えると、今以上に親近感を持って2期を視聴できるような気がします^^