なる@c さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
雰囲気コントの異色作
ディズニージャパン制作の、完全日本人スタッフによるディズニー作品。
ディズニーのコメディー作品というと、口の端が目のすぐ下まで釣り上がるチャーミングな笑顔と、身体の関節を何個か余分に足したかのような滑らかな動きが印象的だ。しかし、二体のロボットをメインキャラに据えて制作された今作は、表情もなければ滑らかな動きもない。異色の作品だ。
しかし、それは果たして、面白おかしさの表現を妨げることにはならなかった。
ドロッセル「おい○○、○○はどこだ?」
ゲデヒトニス「はいお嬢様。ちなみに私はゲデヒトニスでございまs……」
ドロッセル「××よ/あなたは口を挟まないで!」
という掛け合いから始まる2人のやり取りは、お嬢様と執事という立場の上下はあるものの、どちらがツッコミともボケとも取れない雰囲気系の漫才のように展開されていく。ドロッセルお嬢様がゲデヒトニスの名前を間違えるお約束は回を追うごとにバリエーションを増していく。他にも、どちらかがおかしなことを言うと2、3秒空白の時間が生まれるなど、緩急織り交ぜたエンターテイメントとなっている。
このアニメは、二体の表情がないからこそ成立するシュールな短編アニメだと思う。そして、それを作るのが得意な日本のアニメスタッフが任され、期待通りのアニメを作ったのだ。
ドロッセルお嬢様の容姿が素晴らしい点について話そう。ドロッセルお嬢様は好んで決めポーズをお取り遊ばせられる。一番ポピュラーなものはどちらかの手を腰に当て、そちら側の腰をクイッと上げるポーズ。また、武道も嗜んでおられ、カポエイラや空手に興じる姿も美しい。是非、一度ご覧になってみてはいかがだろうか。
また、今作は是非メイキングまで観てほしい。
CGアニメでありながら、二体が本当に存在するかのようなNGシーン集、キャストインタビューの風景が収録されている。ドロッセルが作中のドロッセルに憧れる新人女優、ゲデヒトニスが融通のきかないベテラン俳優として振る舞っており、作中の関係を考えるととてもおもしろい。
30分に満たない短編アニメでここまで楽しめるとは思っていなかった。
次回作である『ファイアボール チャーミング』も近いうちに観てみようと思う。