アネット・イクヤーク さんの感想・評価
2.4
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
ヒロインは可愛いけどストーリーは……
学園+異能+ハーレム。まあ、最近流行りのやつですな。ついでに主人公は最強系。
第1話こそ、展開はベタベタながらもテンポも良く、案外良いアニメになるんじゃないかと(ベタ、ありがちも良く言えば王道とも言えるし)期待したのだけれど、その後は失速。
キャラクターはそれなりに可愛いのだけれど、ストーリーがまったく面白くない。ストーリーには、何らかのゴールを提示して(もちろん、のちにそれを覆すのは問題ない)、そこに向かっていく推進力のようなものが必要だと思うのだが、そういったものが無いせいだと思う。
個人的に疑問なのは、主人公(とその妹)に対する周囲の扱い。
{netabare} 主人公のルクス君は、かつて悪政を敷き、クーデターで倒された帝国の皇子という出自をもつのだが、そのわりに、周囲から何のわだかまりもなく受け容れられている。
しかし、舞台はその帝国を倒して成立した新王国の士官学校であり、しかも、帝国が倒れたのはわずか5年前とかなのだ。帝国の悪政の記憶は濃厚なはず。
にも関わらず、主人公たちに突っかかってくるキャラクターがほとんど一人もいないというのはどうなんだろう(唯一と言って良い例外もいるにはいるが……)。ましてや、あるクラスメイトからは、「皇子様~」なんて気軽に呼ばれていたりするというのは……。
主人公に貴種という属性つけたかったのかもしれないが(実際、敵に「亡国の皇子」呼ばわりされたりもする)、それが、ありがちなハーレム展開と食い合わせが悪く、おかしなことになっているような。
というか貴種属性を付与するにしても、普通に、滅ぼされた悪の帝国の出自だが隠している……みたいな設定で良かったんじゃないですかね。
ヒロインの出自が新王国のお姫様なので、滅亡した帝国の皇子と、滅ぼした王国の姫の許されざる恋、みたいな展開にしたかったのかな、とも思ったけど、あんなにナチュラルに周囲から出自を受け入れられてたら意味ないし。{/netabare}
キャラクターについては、上でも書いたけどヒロインはわりと可愛い(画的にも、キャラ的にも)。特に上でも触れたお姫様のリーシャ様は、ツンありデレありな正統派ヒロインという感じ。
ただ、悲しいかなメインヒロインのハズなのに、びっくりするくらい存在感が薄い。彼女とのエピソード(おそらく、原作の1巻にあたる部分)は2話までで片づけられ、そこから9話まで、その他のメインヒロイン3人のエピソードが順番に続くんだけど、その間ほとんど活躍しない。
その他のヒロインもわりと好きだし(天然無口巨乳幼馴染は個人的には微妙だったけど)、妹とか、サブヒロインも良い感じ。
一方、敵キャラの方は、この手のジャンルにありがちなのだが、魅力にも存在感にも乏しい。結局、ストーリーが面白くないのもそのせいだろう。バトルものならば、下手すれば味方以上に敵のキャラクターメイキングが大事だと思うのだが、どうしてこの手のジャンルは敵の造形がおざなりになってしまうのか……。
まあ、アニメの最終回で強敵の出現を予感させる終わり方をするので、アニメの尺の問題と原作ファンからは言われてしまうかもしれない。でもそんなにもったいぶらず、別に序盤から(倒されるとしても)魅力的な敵を配置してくれたって良いと思うんですけど。
この手のジャンルの大先輩である「灼眼のシャナ」とか、第1巻限りのボスだって強キャラ感あったのにね。「最弱無敗の~」に限らず、この手のジャンルの作り手は、見習ってほしいところ。