アネット・イクヤーク さんの感想・評価
2.4
物語 : 1.5
作画 : 2.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
大量のキャラクターを捌き切れず、ストーリー自体も……
本作の監督が、原作は見ないようにしている、と語ったことが、ネットでちょっと話題になっていた。原作を見てしまうと視野が狭まってしまう、とかなんとか。
まあ、そうした「監督が原作から距離を取る」という手法もありっちゃありなんだろうし、ぶっちゃけシリーズ構成が原作に知悉してればそんなに問題ないだろうから、そこまで叩かれる発言でもないとは思うのだが……。
しかし、アニメの出来が悪ければ、ひとたび恰好の燃料になってしまうわけで、この手の「創作論」にまつわる発言はリスキーだよなあ、とつくづく思う今日この頃。
さて、内容について。
本作は、とにかくキャラクターが多い。2クール全25話のアニメなのだが、1クール目の12話分は、ほとんど毎回キャラクター登場(&パーティ加入)回という多さである。そのうえ、主人公の仲間以外にも、「八柱将」だなんだと、色々出てくる。
そのくせ、各キャラクターの掘り下げは不十分で、特に仲間になるキャラクター同士の関係性について、描写が著しく不足している。なので、大事なところでの仲間の絆みたいなエピソードが、全くもって響かない。
このあたりは、原作ありきの難しさもあるとは思う。特に「うたわれ」の場合、原作がSRPGなので、どうしても仲間のキャラが多くなってしまう。
ゲームなら多少ストーリー上の描写が少なくても、各キャラの能力の特性とかでもある程度キャラ付けができるし、自分で操作することによって勝手に各キャラへの愛着も湧くもの。しかし、アニメの場合そうはいかないし。
だから、掘り下げ不足になるのは仕方ない面もあるのだが、それにしたって、もう少し上手くやれなかっただろうかとは思う。実際、無印「うたわれ」のアニメは上手くやれていたようだし。
加えて、延々と新キャラ登場回が続くので、まったくストーリーが進まない。というより、ストーリー性の無い、日常アニメのような体をなしている。毎回何かトラブル発生→新キャラ登場→仲間に、の繰り返し。話が動かないのでは、面白くない。
まあこの辺は、こっちが勝手に、前作「うたわれるもの」のようなストーリーを期待していた面も否めないんだけども。
もっとも、それを差し引いても、じゃあ前半が日常ものとして面白かったかといわれると微妙。
しかも、ストーリーが動き始め、戦争などが起き始めた後半も、なんだか緊張感に乏しいし……。それに、前半でキャラクターの描写が不足しているので、そういう人たちが、ストーリーが動き始めた後半にシリアスな事態に陥っても、そんなに心動かされないんだよね。
{netabare} ついでにストーリーについて言えば、主人公が自分の過去の記憶を喪失した状態から物語が始まるのに、自分の記憶や出自を調べよう、みたいなアクションをほとんど起こさないところが謎。
そうした主人公の過去の謎は、物語後半に、特にストーリー上の必然性もなく(まあストーリーが無いので必然性も糞も無いんだけど)明かされることになる。しかし、自身の出自に関する重大な事実を知ったにも関わらず、それによって主人公の心が何か動かされた風でもなく、次の話は何事もなかったように始まる、というのもどうかと思う。{/netabare}
ただ、最終回付近は、これだけ文句を言いつつも、続きが出るなら見たいと思わせる終わり方にはなっていた。なので、そこを考慮して、ストーリーは最低点にちょっとだけプラスしております(笑)