アネット・イクヤーク さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
まずまずの良作。ギャルゲ原作だけど恋愛要素は薄い。
人気美少女ゲームのアニメ化。ただ、美少女ゲームに当然含まれる(であろう)恋愛要素はほとんど排除され、ヒロインたちがオリジナルのスポーツ「フライング・サーカス(FC)」に情熱を燃やす姿がメインに据えられている。
原作における男性主人公は、完全に脇役。一応、ヒロインと幼いころに会ったことがあるが覚えていない……というような、お約束の美少女ゲーム展開にもチラりと触れるのだが、ゲームではそれが重要なエピソードに繋がっていくであろうところ、アニメでは「まあいいか」みたいな感じでさらっと流されてしまう。
このあたり、原作ファンからすればどう思うのかはわからないが、そうやってゲームの主人公の存在と恋愛要素を希薄化した結果、「FC」という架空の競技を扱ったスポーツ・アニメの体をなし、これが良い感じに嵌った印象を受ける。
FC初心者だが、天性の才能を持っているヒロイン・倉科明日香と、チームメイトたちの友情や葛藤。さらには、やはり天才的な能力の持ち主であるライバルの出現……と、題材にする競技こそ架空だが、内容はスポーツものとしては王道的で、爽やかな気持ちのいいアニメになっていると思う。
もっとも、架空の競技ゆえに、技術的なことや戦略的なことを言われても、それが妥当なのかイマイチ判断がつかなかったりもするんだけど……(派手な技に意味があるの、とか。ドッグファイトを挑みに行かず、無視してひたすらブイを取りに行った方が効率良いんじゃないの、とか)。
美少女ゲームのアニメ化の一つの焦点は、複数のヒロインとパラレルに恋愛する美少女ゲームを、パラレルな世界を(基本的には)許さないアニメにするにあたって、その違いをどう解決するのか、にあると思う。たいていは、メインの主人公と恋愛をするヒロインを設定しつつも、他のヒロインのエピソードもつまみ食いしていく形になる。
しかし、1クールという時間的制約や、原作では主人公との恋愛感情がカギになるであろうエピソードを、友情などに置き換えるなどのアレンジを加えることで、どうにも中途半端なものになってしまうことも往々にしてある。一昔(ふた昔?)前なら、たいてい2クールは貰えたから、時間的制約についてはそうでもなかったんだろうけどね。
それならば、いっそのこと大胆なアレンジを加えた方が、アニメというメディアのフォーマットに適応して、良いものができることもある(もちろん、爆死するリスクもあるが……)。「あおかな」はその好例じゃないかな。