どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
乙女ゲーム原作の、幻想的なファンタジーラブコメ。一見さんには説明不足な感も
オトメイトの女性向け恋愛ゲーム(いわゆる乙女ゲー)原作のファンタジーラブコメです。全12話。
世界観が幻想的で美しいのと、ヒロインが3人いるので逆ハーレム感が比較的薄いのが特徴でした。
原作知らないとキャラの背景や世界観の詳細が分かり辛い面が難あり。
ヒロイン3人は中々可愛いので、過度な期待をせず幻想的雰囲気とヒロインを愛でる感じでした。
※
私はニコニコ動画で視聴しましたが、毎話コメントで熱心かつ詳細に解説して下さる方がいて、お陰で本作を楽しむ助けになりました。
場違いかもですが、この場をお借りして御礼申し上げたい。
{netabare}『物語』
幻想的で綺麗な雰囲気に魅せられる。
ノルンという超テクノロジーな空中都市を舞台に、異能持ちの少年少女が共同生活をしつつ、恋愛したり絆を深めていく…。
まず、SFファンタジーとしての壮大さに引き込まれました。
乙女ゲー作品には珍しく?ヒロイン3人体制でそれぞれ攻略対象の男子9人と交流していく。
こはる、深琴(みこと)、七海(ななみ)三者三様の可愛さあり、この点が男子視聴者にとって良かった。
…1クールしかない尺でキャラクター多過ぎる為、個々のキャラ(特に男子)の印象散ってしまっているのが残念。
前半は男女のゆるい日常系なノリ、学園物に近い。見ていてまぁまぁ楽しめました。
話が進むと、ノルンの秘密や、少年少女に課せられた使命、世界の秘密が明かされていき、これと並行して過去に辛いトラウマ持つ男子たちの心にヒロインたちが踏み込んでいく。
攻略対象男子は乙女ゲーらしく、性格や関係性にかなり難あり、そこをどう関わるか?
特に深琴と朔也のエピソードが良かったです。
相思相愛なのに、望まぬ異能と相手を大切に想うが故に距離が開いてしまう、不器用で危ういけれど命掛けのロマンスに萌えた。
七海の攻略対象、宿吏暁人(しゅくり・あきと)に至っては露骨に嫌われており、それでも紆余曲折で真剣に向き合う展開は静かにして、熱いです。
終盤に明かされるこの世界の仕組みの壮大さにはビックリ。
愚かな人類の歴史、繰り返す輪廻の歯車…
壮大な世界観の行く末が、少年少女たちの愛のドラマと選択に収斂していく…
一番おとなしくて奥ゆかしかったこはるが、愛する駆(かける)への想いをセカイの行く末より優先させる激情は圧巻。
これぞセカイ系の極みですな。
壮大なSFな割には話のスケール小さく感じますが、セカイ設定はあくまで舞台装置であり、大事なのは少年少女の愛の行方なのですね。
…色々と説明不足なので、アニメの内容だけでは極めて分かり難いのは残念。
ニコニコ動画の解説者さんがいなければ多分10分の1も理解できなかった。
まあ、本作は細かい事はともかく、壮大なる雰囲気が大事と見れば、終盤に向けてのラブロマンスの盛り上がりは良かったです。
壮大さとキャラ層に比して、1クールでは不十分な感ありますが、視聴して満足感はありました。
『作画』
幻想的で非常に美しい。絵画的な意味で、同時期の灰と幻想のグリムガルにヒケを取らないです。
飛行する空中都市という舞台背景を存分に感じさせてくれる。
アニメの醍醐味は現実や実写では難しい幻想にこそあると思うので、その意味で本作は作画だけで観る価値ありました。
キャラデザもオトメイトらしい美男美女で申し分なし。
特に黒髪な深琴ちゃんは好みです。
『声優』
藤村歩さんの大人しい可憐系、高垣彩陽さんの凛とした美少女、そして瀬戸麻沙美さんの無口無感情系ながら想いを振り絞る、いずれも良かったです。
特に藤村歩さんは終盤の激情が凄い。
男性陣も流石に豪華です。
斎賀みつきさん女性声優ですが流石のイケメンっぷり!
『音楽』
OP「カザキリ」ED「ゼロトケイ」共に良曲、BGMも幻想的な雰囲気を演出してました。
『キャラ』
こはるちゃんは一番乙女ゲーヒロインらしい(自我が希薄、守ってあげたい系、純真無垢でお人形さんみたい)。
可愛いんですが、本作は他2人が積極的な魅力発揮するので、終盤までは地味でした。
終盤の恋の選択は鬼気迫る、メインヒロインらしくて見直しました。
深琴ちゃんは気が強くてしっかりした女性、ちょっと乙女ゲーには珍しいタイプ(私乙女ゲーキャラはアニメでしか知りませんけど)。
黒髪だったり感情の起伏が分かり易いので、一番共感出来ました。
七海ちゃんは綾波系というか無口系なんですが、相方の暁人(あきと)との関係が複雑な事情あり、嫌われている状況に真摯に向き合うので、何気に一番かっこ良かった。
…男性陣は、まあ乙女ゲー的な難ありキャラ達ですな。
恋愛の本筋以外のキャラはちょっと影が薄い。
1クールではキャラ多過ぎでした。{/netabare}