amnmnt さんの感想・評価

4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

「リアル」を見事に融合させた異世界ファンタジー

以前5点満点でレビューを上げたのですが、さすがにそれは言い過ぎな気がしたのでやや減点の再評価。

A-1作品としてはSAO、七々々、ガリレイあたりの「視覚的な」出来栄えを考えると色彩や撮影まわりが若干〝軽い〟です。光の演出が妙に足りないのだと思われます。もうひと手間欲しい・・・というか、上記3作品と同等レベルにして欲しかった。（ガリレイは面白さの割りに気合い入りすぎ感はありましたが・・・）

ただ勘違いしないで頂きたいのは、よく聞く「作画が悪い」とかそういう事ではないです。作画自体は十分に良く、演出や（声優ではなく作画としての）演技、動きなどもとても良い。しかしどうしても上記3つのA-1作品と比較すると「表面的・視覚的単純クオリティ」の面では劣っていると言わざるをえません。

3期を熱望しておりますが、もしあるなら真のA-1パワーを開放して欲しいところです。

さて中身の話を。
安っぽすぎず、難しすぎず、かなり上手に作られているアニメです。

ファンタジー（非現実）をただ気持ちよく描くのではなく、作者が生きる中で考えさせられたのであろう内容や問題、メッセージを内包し、リアルな人間ドラマなども加え、その上で異世界ファンタジーの物語として見事に成立させアウトプットしているのがこの作品。ファンタジーなのにリアル。リアルなのにファンタジー。上手い。なんら違和感なし。ぐいぐい引き込まれます。

そしてアニメならではの演出。見せ方が素晴らしい。筆者は原作未読ですが、原作では恐らく文章で説明されていたのであろう内容を、うまいことアニメ（映像）として「見れば分かる」ように作ってくれてあると感じました。また、実写では無理そうな「アニメだからこそ」のカットもお見事。1度観ただけでは気づかない事が多いですが、ぜひ何周も観て感じてくださいｗ

どうしてもここだけはちょっと語っておきたい！という内容がありますので、折りたたみにて。
まだ観てない方は開かないでくださいね！
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{netabare}特に20話！！ラストのあたり、かなりやばいです。良すぎ。全部書いてるとキリがないのでいくつかを。抵抗するシェリーの腕を無理やり掴んで乱暴に連れて行こうとする様子や、本当に「駄目なんじゃないか」と思わせるギリギリの演出。シェリーの背中を押す老兵、押された勢いでよろけながら「境界」を超える小さな足、感情と展開に呼応するように明ける夜。朝日。そして個人的イチオシは朝日のなか菅原さんに駆け寄るシェリーの横顔のカット。このカットを考えたのが監督なのか別の方なのか不明ですが、このわずか3秒ほどのカットに、シェリーに溢れる様々な感情、これまでの自分との別れ、そしてこれからの決意、覚悟、それらが集約され見事に表現しています。あと声優さんの演技もここ一番。最高でした・・・。この第2クール最大の見せ場だったと思います。{/netabare}
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ただ原作既読の方からはそれでもやはり掘り下げか足らない、飛ばし過ぎなどの意見も見られ、事実、原作未読の私も若干、たしかに駆け足では？と感じる部分もありました。が、組み立てと演出が見事ですのでそう気にはならず物語にのめり込めます。

メインキャラの個性は非常に豊かで、サブキャラも見事。結構サブキャラ多いのですが、ほとんどみんな、きちんとキャラが立っているのです。特に菅原さん。菅原さん最高。そしてキャラ萌え要素もしっかり入っており、この作品はストーリーで楽しみたい方もキャラ萌えで楽しみたい方も、両方楽しめます。

また、作品タイトルの通り自衛隊メインのお話なわけですが、そちら関係に興味がない方でも十分楽しめるほどに「ナチュラル」で、決して妙な押し付けがましさは感じませんのでご安心を。あくまで基本はファンタジー異世界モノとして観る事ができます。

ストーリー部分はどちらかといえば王道的。意外性がない、という事ではなく見ていて気持ちがいいです。演出だけでなく音楽も見事にシーンを盛り上げ、どんどん引き込まれていく。気づいたら2周目、3周目と観てしまう程です。

最後に、この2クール目（13話～24話）については絶対にネタバレ無しで観た方がいいです。絶対に！！！！