かしろん さんの感想・評価

3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態：観終わった

純愛

【最終話まで見て　を追加】

【１話見て　カタルシスはあるのかな？】
{netabare}異世界転生モノ＋タイムリープモノ。
異世界転生した主人公は基本的には一般人。
何やら特殊な能力が、ってこともない。

と、まぁ、なんとなくどっかで聞いたことがあるモノをいいとこ取りしてやろう
って感じムンムンな本作。
だが、別にそれが鼻につくってこともなく、まぁまぁ楽しい１話だった。

けど、これ、タイムリープの帰結点は何処にあるの？

タイムリープものに多い帰結点は
「誰かを救う」
だ。
　誰かを救いたいのに救えない
　誰かを救うために他の何かを犠牲にして
　いっそ、世界すらも犠牲にして
という、タイムリープする人のひたむきさや、苦悩の果てにある解放に対して
見てるこちらはカタルシスを感じるわけだ。
本作の帰結点はなんだろうね。
まさか
「徽章をあいつのために取り戻す」
じゃないよね？
　あいつの正体
　敵の正体
　徽章の秘密
　主人公が転生タイムリープする理由
とか秘密か明かされていくんだろうけど、徽章を取り戻すくらいじゃ
感動せんよ？
多分。

しかし、この手の作品の主人公見るたびに思うけど
「そんだけ行動力と社交性があれば現実でも上手くやれるだろっ！」
と。
ダメなやつはどんな世界に行ってもダメだよ。
人間、そう簡単にはかわれない。
もこっちもそう言ってたしね。

でも、アニメの中でくらいは夢を見たいか・・・{/netabare}

【７話まで見て　カタルシスが物足りない】
{netabare}タイムリープモノというか、死に戻りモノ。
ＢＡＤＥＮＤが多いアドベンチャーゲームを横で見せられてる気分。
まぁまぁ出来が良いから楽しめてる。

けど、１話感想でも書いたんだけど、求めてた部分とのズレが埋まらないから、
すっげー楽しい！
ってところまでいかないんだよね。

時をかける少女
シュタインズ・ゲート
まどか☆マギカ
僕だけがいない街
など、タイムリープモノ、やり直しモノがあるんだけど、これらに共通するのは
「主人公が、誰かのために、何度も何度も同じ時を繰り返す。
　七転八倒しながら、苦しみ抜いた末に、そのループをぬけ出す。」
ってことだ。
タイムリープモノ自体が
「自分が納得いかないからやり直してやろう」
って利己的な物を含んではいるんだが、誰かのために頑張って、苦しみの末に
それが達成されるから、そこにカタルシスを感じる。

で、本作なんだけど、この「誰かのために」って部分がないから、見てても
カタルシスが物足りない。
ヘタすれば、
「主人公がいないほうがこの世界は巧く廻っていくんじゃなかろうか」
とさえも思えてくる。
ループ脱出はまだ１回だけなんだけど、現在繰り返されてるループを抜け出た
ところで、
「あぁ、主人公くん、良かったね」
くらいにしか感じられそうにないんだよね。

”積み重ねた日々の無効化”
”現況を誰にも相談出来ないという孤独感”
という繰り返し物の定番に加えて、
”ループ起因が主人公の死という恐怖”
そういうのが描けてるからかろうじて楽しめてはいるんだけど、
主人公に共感してのめり込む
ってほどには楽しめそうにないなぁ。{/netabare}

【最終話まで見て　純愛】
{netabare}どんな困難が待ち受けようともスバルはエミリアを好きでいつづける。
「ただそれだけの物語」
うん。良い締めでした。

上記【１話見て】で書いた
　　しかし、この手の作品の主人公見るたびに思うけど
　　「そんだけ行動力と社交性があれば現実でも上手くやれるだろっ！」
　　と。
スバルのエミリアに対する感情。
純愛。
いや、固執や執着だよね。
「異世界に行ってちょっとカワイイ娘に出会って助けて貰った。」
ただこれだけのことなのに彼女に執着しちゃう。
全く周りが見えてないこの感じ。
良いよ良いよである。
傍から見れば
「なんでエミリアなの？」
と思えますが、それこそが彼が彼である証。
この固執や執着という狂気こそ、彼が現実社会で上手くやれなかった証。
周りが見えてないからレムに対しても逃避先や自己肯定の鏡としか見えてない。
十分に納得させられました。

そんな彼が最終盤に対峙するのが魔女教。
魔女に狂信する集団。
怠惰の大罪司教。
現実社会で怠惰にヒキコモリ生活をし、転生先でエミリアに執着するスバル。
いいカウンターの効いた対決でした。

ただ、【７話まで見て】でも書いたけど、のめり込むまではいかず。
楽しかったんだけど、思った以上にゲーム感が強くて、スバル他登場人物に
感情移入出来ないんだよね。話の傍観者というかなんというか。
特に王選編のスバル。
グッドルート編のバッドルート編での差が激しすぎて気持ち悪い。
うまくいっている時こそ彼の苦悩の描き時なのに、死に戻っていきなり楽観的
に物事を進めてく彼にはノレなかったです。

なんだかんだと書きましたが、面白かったです。
繰り返しモノとしてのカタルシスみたいなものは正直薄いですが、十分に楽し
める内容だと思います。{/netabare}