狗が身 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
生きてるって、きっと楽しいことだから。
記念すべきポケモン映画一作目にしてTVアニメとは一変してシリアス調で重いテーマを扱ったハードな意欲作でした。
今でもポケモン映画で一番の傑作との声が挙がっていますが、それも分かる出来ですね。
自己の存在定義に悩むミュウツーを通して、命の重み、生きるということの喜びを訴える内容でした。
物語の序盤にて、ミュウツーは人間の傲慢さをその身をもって体感し、人間への逆襲を決意します。
人はポケモンに劣る存在。そして自分はそのポケモンの中でも最も強い存在。ならばこそ、自分が人を、ポケモンを支配する。
それが、自分を生み出した人間への逆襲。
「私のルールは私が決める」
そう豪語するミュウツーですが、実際は自分で自分の存在を定義できず、人間から教え込まれた【最も強い存在】となることで自分という存在を世界に生み出そうとします。
そんなミュウツーが抱える生の苦しみを解消するのが、サトシの行動でした。
多くの命が争いあう戦場をその身ひとつで止めようとします。
一人の人間が多くのポケモンの為に命をかけ、その命をポケモンの想いが救う。
そこに自分が否定したポケモンと人間の共存を目の当たりにして、ミュウツーの苦しみは消え去ったのでした。
生きることに意味はあっても理由なんて必要ない。だって生きているって、きっと楽しいことだから。
できれば終盤でミュウツーが吹っ切れるシーンにはアイツーのカットを入れて欲しかったけど、そこまで求めるのは贅沢ですかね。
兎に角、今観ても色褪せない魅力ある作品です。
そういえば、何気に小林幸子さんの自然な演技には驚かされました。