「純潔のマリア(TVアニメ動画)」

総合得点
70.5
感想・評価
866
棚に入れた
4492
ランキング
1563
★★★★☆ 3.7 (866)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

中世風ではない、中世ファンタジー

 原作は未読。
 百年戦争時の中世フランスが舞台だが、時代考証を相当ていねいにやったようで、風俗、
思考、戦争シーンなど、かなり正確。
 ラノベやゲームが原作の中世風の異世界を舞台にしたハイファンタジーものは、中世の華美的
要素のみ取り入れた、実際の中世とは異なる作品が多い。まあ、あくまで「中世風の異世界」と
いうことで、それはそれでいいんだけど。
 ただ、本作は魔女や天使こそ登場するものの、舞台は実在したものであるだけに、こういう
しっかりした考証がストーリーに説得力を持たせている印象があった。

 基本的には魔女であるマリアという存在を通して、神と人との関係を考えるような内容で、
宗教というものを考える教材として捉えても面白い。
 マリアとミカエルの意見の相違などは、大局的に考えるミカエルに対して、その時の感情に
素直なマリアという印象。
 論理的にはミカエルの方が正しいのだろうが、「目の前を不幸を癒せる力を持つ者がそれを
無視できるか?」という点で、マリアが間違っているとも思えない。
 天界がマリアの人の世の理への介入に異を唱えてきたのは、強大な魔力を持つマリアを人では
ないものとしての扱いだったのだろうが、最終的にマリアが許されたのは人との交流を通じて、
愛を知ったマリアを一人の人間として扱うことになったのかな?という気がする。

 このマリアに関して、聖母マリアと同名であることが強調されていたが、マリアと結ばれる
ことになったジョセフも、聖母マリアの夫と同名(ヨセフ)であることに後になって気付いた。
 マリアとジョセフに間に生まれるであろうエゼキエルが第二のイエスになるとはさすがに
思わないが、イエスの登場が歴史に大きな影響を与えたように、作品世界においてはマリアの
行動や思考が新たな価値転換を産むのだろうか?。

 宗教観という点では興味深かったのはベルナール。
 当初はマリアを弾圧しようとする悪役といった感じで登場したが、マリアとの対話を通じて
次第に宗教観が変わっていく過程が面白い。
 結局、彼が辿り着いた人間主体の宗教観は時代を先取りしすぎたような思想で、早すぎた
不幸と言えそう。

 ファンタジーとしては地味めではあったが、キャラの魅力に溢れており、ストーリーも
良くまとまっていた感がある。
 ガルファ、ジルベールなどはマリアを主役とする活劇といった観点では悪役なのだろうが、
ガルファはマリアが嫌う戦争によって生計を立てている象徴として、ジルベールは中世の
キリスト教観の象徴といった感じで、単なる悪役ではないように思えた。
 コメディ要素も強く、下ネタも豊富だが、これも中世の性風俗観を表現するのに役立つと
いった真面目な側面もあったりする。

 それほど話の主軸に絡むキャラではないが、エドウィナの使い魔であるレグリス(小澤 亜李)の
「ニャー」という、あえてリアルな猫に似せていない言い方がやけに耳に残った。

投稿 : 2016/04/10
閲覧 : 239
サンキュー:

7

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