たきおさん さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
シナリオを描く視点で見てみましょう。
メインキャラクターの4人の性格は、
男が、無気力とモラトリアム。
女が、ドジっ子と激情家。
このようになっていまして、ここから生まれてくる化学反応が、メインの謎解き以前にまず楽しめます。
私は、京極夏彦や森博嗣は読みますが、
アガサや、シャーロックは読んでいないという、
「基本をおろそかにした、ミステリ好き」です。
劇中には、洋物のミステリをベースにした、オマージュなのか何なのか分からない話も出てきましたが(原典を知らないのだから当たり前だ)
それでも、謎の構成が多重的で作り込まれた上質なものである為、素直に楽しめました。
会話が生きていたなあ。
「七つの大罪」をヒロインが独自に解釈して、
人生哲学を披瀝するシーンがあるのですが、
『傲慢』さが全くない人間は自信のない人。
『強欲』さが全くない人間は家族を養えない人。
『嫉妬』を全くしなければ、新しい技術も文明も生まれなかった。
彼女ドジっこなのですが、こんな事言うんですね。
イキイキしてると思いません?
キャラに振幅があるし、
原作者さまがそもそも博識な上に、
客観的な観念をお持ちだからこういうシーンが描けるのでしょうねえ。
メインストーリーのみならず、
細部にも感心しながら見ておりました。
タイトルにある通り、
一つの小話を書こうと思った場合、こういう風な構造で、こういう風な伏線を張ると、スムーズにまとまるんだー、みたいな、
そんな視点で見てみると、
面白さが倍増すると思います。
少し頭を使いますが、
海馬と前頭葉をぴくぴくさせながら、
楽しんでもらいたいと思います。
・・またどこかで会いたいなあ