てけ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
自然体で描かれたお手本ストーリー
原作未読、実写映画未視聴です。
Wikipediaはネタバレにもほどがあるのでお気をつけて。
29歳の売れない漫画家、藤沼悟(ふじぬまさとる)はある日大事件に遭遇し、犯人だと疑われてしまう。
警察から逃げるさなか、過去にさかのぼる「リバイバル」が起こり、気がついたら少年時代に戻っていた。
少年になった悟は、未来を変えられるのか。
良かったです。
気に入ったところがいっぱい!
* シンプルで分かりやすい設定
* 1話1話綺麗に描かれた起承転結
* シリアスなストーリーの自然に溶け込むキレのあるギャグ
* メリハリの付いた日常と事件の空気感
* 真犯人が気になるミステリー仕立ての展開
* 人間の心に焦点を当てたテーマ性の存在
* 見ているこちらの気持ちを揺さぶってくるBGM
特に物語や表現に説得力があったのが印象に残りました。
「さっさと気づけよ」
「この展開はありえないんだけど」
「何でこうなったの? 説明なくない?」
ということが少ない。
幼い悟の戸惑い方とか、「アニメらしくない勘の良さ」とか、様々な描写が自然体で描かれています。
「そうだよなぁ」「そういうことね」といろんな場面で納得させられてしまうのですよ。
また、毎話のように何かを盛り上げて、解決し、新しい展開を持ってきて、次回が気になる引き方をする。
お手本みたいな作りの物語で、それだけでも見た価値がありました。
{netabare}
ただ、個人的にちょっと分かりにくかった点・疑問点をメモ。
悟が説明せずに警察から逃げたワケ
→ ユウキさんの運命を知っているためそれを無意識に避けたのか?
リバイバルの発生に対して「これが最後」と言っているわけ
→ 実際に最後なのではなく、奮い立たせるために言っているだけ?
先生との対決
→ 15年の間、先生が悟を思い続けるに至った描写が不明瞭。
尺の問題だろうか?
最後に見えた青い蝶
→ アイリと合う運命になるために、実はリバイバルしている?
壁の「Re:Re」の落書きも曲名宣伝と思わせて、その暗示か?
{/netabare}
構造的にしっかりしているだけではなく、テーマ性を失わないのも良かったです。
* 冤罪という問題
* 一人で行動することの苦しさ
これらを通して、「信じる心」というのが前面に押し出されています。
かといって、
「信じるって大事だよ!」
と言うのではなく、「信じた結果」というものを描いてから語る。
そのおかげ説教臭くもならず、自然にテーマが頭に入ってきました。
{netabare}
そしてそれが常に正しいわけでもないことを描いています。
「結末はもっと先のことで、結末なんて誰にもわからない」
先生という存在がアンチテーゼになっているわけですね。
手放しでひとつの説を支持しないのもいいところ。
{/netabare}
そして、感動もできちゃう。
2回ほど涙腺がやられました。
泣かせるストーリーではないのに、自然と涙が出てくる。
感動を押し付けるのではなくて、私が勝手に泣いてるだけに思わされる、こういう泣き方好きです。
BGMの使い方も巧みですね。
事件が解決したと思ったらまた不穏なBGMが流れる。
それで、起こるかどうかわかりもしない事件に対して、視聴者は緊張して準備してしまう。
BGM一つで見ている側が振り回されます。
OPやEDも惚れました。
OPのちょっとした変化もおしゃれです。
{netabare}
* 11話では悟の姿が消える
* 11話から全員の目から黒線が消える
* 11話から頭の上に蜘蛛の糸が見えるようになる
要するに悟だけがいない街での、先生視点に切り替わっているんですね。
{/netabare}
「これが物語だ!」という見本のようなしっかりしたストーリー運びとヒューマンドラマ。
そして、描写も自然体を意識した、とっても見やすい作品でした。