CountZero さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
メディアと、わたしの、ふたりっきり。孤独の持久力。
さてと。
ようやく観終わりました。
ゼロ年代最高と名高いSF作家伊藤計劃さんの長編が原作です。
原作が大好きな作品なので、とても期待していました。
見終わって、ほぼ原作通りに台詞回しや、独白がなされていたので、全編を通して説明臭さが人によっては疲れてしまったかもしれません。
しかしそれでも残念ながら、「虐殺器官」とセットで対になっている作品なので、「ハーモニー」だけでは世界観の全体を掴むのはなかなか難しくなってしまったとも思いました。
観るなら「虐殺器官」を見てから「ハーモニー」を見るのがやっぱりいいです。
もちろん「虐殺器官」が完成すればなんですけれども。
伊藤計劃さんの文章で描かれる窒息しそうなくらいの息苦しさは、アニメーションではあまり感じることができず、ホラーでグロテスクな描写もただの大量出血になってしまっていたのは残念でした。
あと最も残念だったのは、ラストかな。
{netabare} トァンがミァハを愛して求めていたのは間違い無いけれど、原作で描かれているようにトァンのセリフが無いと彼女の行動の理由が最後の最後で、ブレてしまうというか不明瞭で弱くなってしまいました。
あれではただただ、ミァハのわがままに、世界が巻き込まれてしまったかのようでした。
もちろんある意味ではそうなんですけれど…。{/netabare}
アニメとしての出来は悪くなかったですが、原作が近年稀に見る傑作だっただけに、映画には少しがっかりしてしまいました。
沢城みゆきさんの声を堪能できたのは、大満足です。
ミァハ役の上田麗奈さんも、彼女の不思議な感じがよく出ていてよかったです。
ラストのegoistはベストマッチですね!
なので、アニメ映画としては個人的には及第点をあげたかったんですが、やはり原作改変しているところがどうしても気になってしまったので、消化不良で残念でした。
あとは、他の二作に期待します。
特に「虐殺器官」!