シャベール大佐 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「昭和」と「落語」の描写が魅力的
昭和時代の落語家を主人公にした人間ドラマ。
とても面白かったです。
作品の冒頭部分はおそらく昭和後期ですが、それ以外の大半が太平洋戦争前後の時代を舞台にした過去篇です。真面目な秀才型の菊比古、破天荒な天才型の助六という対照的な2人の若い兄弟弟子が落語家として成長する様を描き、そこにみよ吉という芸者が絡んでくるといった感じで、内容的には結構オーソドックスな構図です。それぞれのキャラの個性もしっかり描けていていますし、ストーリーも普通に面白いです。また、作品の土台となる舞台設定や、物語の中核になる落語シーンがとても良く出来ていたことも大きいです。
舞台設定については、昭和の町並み、日本家屋での暮らしぶり、寄席や芝居小屋や喫茶店などの客も含めた情景など、その当時の日常風景が随所に描かれていて、現在の日本に通じる部分と、まだ残っている江戸の香りみたいなものがミックスされているように感じられて、興味深く眺めていました。
落語シーンについては、自分には落語の技術を客観的に評価できるほどの専門知識も鑑賞経験もないので、この作品の落語演技レベルが、玄人から観てどの程度だったのかわかりませんが、少なくとも素人目線からすると、観ていて拙さや違和感といったものは感じず、全体的に良かったと思います。特に助六の声優さんはとても上手だったように感じました。また、観ていると落語のネタそのものの内容についても興味が涌きますし、落語家の仕草、寄席で落語家が登場するときの三味線、笛、太鼓の出囃子なども含めて、落語を知らない人にも落語という芸能の魅力が伝わるように描けていたと思います。
音楽は、椎名林檎作のOP曲、哀愁を感じさせるED曲とも、作品の雰囲気に合っていました。
最後はまだまだ続きが気になるところで終わりましたが、すでに2期の制作が決まっているようなので良かったです。終盤の内容を観た感じでは、八雲や与太郎といった登場人物のドラマだけでなく、落語を取り巻く時代の流れといったものにも触れられそうな気配があったので、2期も面白くなりそうです。