NANA さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
やっぱり理解出来ませんでした
最初に観た時は意味不明過ぎて、何故この作品が絶賛されているのかが不思議でした。海外勢が日本的な要素に食い付いているだけなんじゃないかなと。
先日久しぶりにテレビで視聴。今度こそはちゃんと理解しようと気合い入れて観たのですが、やはり多くは理解出来なかったようです。
宮崎監督のもののけ姫以降の作品は日本神話や昔話、宗教、哲学色々盛り込まれていそうで難解…あまり視聴者に優しくないような…(^^;; 物語として与えられた部分だけ楽しめば良いのでしょうけど。
でも、ある意味、ラピュタやナウシカみたいな完成度の高い作品よりも考察のし甲斐はありそうです。
実のところ、初めて観た時よりもずっと楽しめました。謎解きを楽しみながら、紡がれていく映像の意味を追っていた(多分意味があるのだと思った)からかも。
少しだけ理解(というか自分なりの解釈?)出来た部分も。
湯屋の役割について
{netabare}
湯ばーばの湯屋は神様達が身体を休めに来る場所なのですね。名のある川の主はヘドロやゴミを残し、身を清め天に帰って行きました。
そう言えば、映画の最初の方で神様の祠?みたいな物が出て来ました。あれ何だろう?
でも、湯屋を訪れるのは神様だけでなく、彷徨える霊なども来るらしい?それがカオナシだったのかなぁと。多くの霊は湯屋で浄化されて仏になるのかも。カオナシは成仏したと言えるのか謎ですが。やっぱり仏教の概念が含まれていそう。
{/netabare}
湯屋のモノノケ
{netabare}
湯屋にいるモノノケ達の正体は何なのでしょう?ちらっとリンさんが白狐ではないかという噂をネットで見掛けましたが。
リンさんって男の娘?じゃないですかね?千尋と会話してたシーンで肩が大きく開いた服着てた画、明らかに体格描き分けてる⁉︎あれ男だ…(^^;;狐の雄ってこと?
湯ばーばに名を奪われてしまうと自分の正体を忘れてしまうらしいので、性別分からなくても仕方ないかも。
名前で支配されるという概念は日本古来の言い伝えとかでもあるのでしょうか?ケルト神話(?)か何かで似たような概念があったような…?
湯屋で働いている者達が生きているのか、死んだ霊なのかも分かりません。そして千尋が人間界に帰った後も、彼らは湯ばーばの下で働かなければならないのでしょうか?うーん気になる。(^^;;
{/netabare}
神隠し
{netabare}
一番の疑問はなんで千尋が?ってことですね。千尋が見たものは果たして夢か現実か?
両親の無能っぷりにイライラ。千尋の足を引っ張るだけだし。(^^;;
なので、もしかしたら千尋の夢なのでは?という疑念が浮かびました。でも車上の枯葉の描写から現実に起こった事であり、何日か経過していると解釈するのが妥当な気がします。
では何故、両親は物語とはまるで無関係なところにいるのか。これは千尋の神隠しであり、千尋自身が試されている成長物語であると言うこと。千尋が乗り越えなければいけない試練を神様が与えたと解釈すればいいのかな?
物語は常に千尋の目線で進んで行くので難解でありながら見易いし、千尋が不思議に思ったこと、驚いたことに共感出来るので決して置いてけぼりになることもない。やっぱり魅せ方が上手いのででしょう。
{/netabare}
ハクという謎のイケメン
{netabare}
ハクは以前千尋が溺れた川の主で、小さな川だったらしく今は埋め立てられてマンションが建っているようです。(よく考えたら怖い(^^;;)
ハクも彷徨える霊の如く、行く宛もなく彷徨っているうちに湯ばーばのところに辿り着いたのでしょうか?
千尋にまた逢えると言っていたけど、どういう形で逢えるのかヒントぐらいは欲しかった。(もしかしたら見逃した?)
ハクが千尋のことを大事にしていたのは、以前溺れた子供だからという理由だけなのですかね?その辺はよく分かりませんでした。恋愛に結び付けて考えることも出来るけど、自分はあまりそういう風に捉えたくないかも
。それぞれのご想像にお任せってことでしょうか。
名前を取り戻したので八つ裂きにされることはないと思いますが、ハクが今後千尋とどう関わって行くのかは気になります。
そう言えば、“名のある川の主”のエピソードはハクの正体への伏線でもあったのですね。
{/netabare}
カオナシは誰だったのか
{netabare}
カオナシからは見る人によって色々な人物像が浮かんで来そう。個人的には、こんな感じです。
生前大金持ちで、金によって何でも手に入れることが出来ると思っていた。でも手に入れれば手に入れるほど自身は空虚さに苛まれ、一人寂しく生涯を終えた霊なのかなと。
千尋に執着したのは千尋が金を受け取らなかったからで、お金では得られない物があることを痛感し、深い哀しみに囚われたのだと思う。
最後は銭ーばの手伝いをすることになり、ようやく居場所を見付けた。成仏はしないのね。誰かに必要とされたかっただけなのかも。
列車のシーンは宮沢賢治の銀河鉄道を連想しました。宮沢賢治も信心深い仏教徒でしたね。あの世への列車だとすれば、湯ばーばのところは現世とあの世を繋ぐ場所、銭ーばのところがあの世だったのでしょうか。と考えるとカオナシは成仏したことになる???
{/netabare}
などなど考え出したらきりがなくなりそうです。あれはどういうことなのだろう?と分からないことだらけでもどかしい。(^^;;
でも、視聴後にあれこれ思い巡らせたくなるのは作品の持つ熱量を感じたからで、なんだかんだで楽しませて頂きました。
この作品が賞賛される理由が何となく分かった気がします。
あ、でも、海外勢はきっとそんなに深く考えてない。日本ワンダフル!ぐらいの感覚で観てると思う。(^^;;