Ka-ZZ（★） さんの感想・評価

4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

「ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ」から始まる･･･本気で生命をやり取りする物語

この作品の原作は未読ですが、水彩画っぽいキャラデザが描かれたジャケットが好みだった事と、出演される声優さんが細谷さん、小松さん、照井さん、そして安済さんと知り視聴を決めた作品です。

最近は視聴にかまけて事前情報が殆ど無い状況で作品を視聴する事が多く、この作品も同様に事前情報が全く無い状況で視聴に臨みましたが･･･結果オーライだったと思っています^^

1話を見てこの作品が異世界タイムリープものである事を知りました。
最近この手の作品が多いのは認識していますが、その作品ならではのファンタジー感を思い切り堪能できる上、面白いし人気もあるから多くの作品が輩出されるのだと思います。
個人的には似通ったジャンルが重なっても全然堪能できるので、あとは内容次第でどれだけ入り込めるかが楽しみなところです^^

1話のタイトルが本レビューのタイトルにも引用させて頂いた「ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ」でしたが、そのタイトルを何事も無くスルーしてしまった事を今では悔やんでいます。
もしそこで気付いていたら1話目からこの作品にどっぷり浸かれたのに･･･^^;

実は、この作品には元ネタとなるゲームがあるんです。
それは『Wizardry』という現在のRPGにも多大なる影響を与えた歴史的な傑作と言われているファミリーコンピューター時代のゲームなんです。
今はゲームは全くしませんが昔ゲームにハマッていた時期があり、このゲームはその時にプレイしていた思い入れのあるゲームでした。

地下迷宮を進む3Dダンジョン形式なので、プレイヤー以外は今どこで何をしているかが全く分からず、マップ機能も不親切なので少しでも気を抜くとプレイヤーですら場所が分からなくなる事があります。

そんな不親切なゲームなのにどっぷりハマったのは、どんなにレベルを上げたキャラでも2度蘇生を失敗してしまうと灰になってしまい二度と戻ってこないという「死」に対して容赦の無い設定が半端無い緊張感を与えてくれる点と、希少価値が高く極めて稀にしか手に入らない武器や防具を追い求めたりできるロマンを兼ね備えたゲームだったからだと思います。

1話のタイトルはゲームでで死んだ仲間をカント寺院で蘇生させる時の台詞「ささやき‐えいしょう‐いのり‐ねんじろ！」を応用していたり、全般的に死に対して容赦が無い設定などはゲームに通じるところがあると思います。

作品のレビューから少し脱線してしまいました^^;
この作品の主人公であるハルヒロは仲間とパーティーを組み、冒険への旅立つのですが･･･
ゲームで最弱と言われるゴブリン相手に苦戦し･･･全然倒せないところから物語が始まります。
ここは現実の世界･･･ボタン一つでゴブリンをやっつけられるゲームの世界ではありません。
それに･･･ゴブリンだって死にたくないから生きるために必死に抵抗する･･･
生き抜くために必要なのは、必死に抵抗する相手に剣を突き刺す勇気と経験･･･そして、「生きたい」という強い思いなんだと思います。

言葉にするととても無情です･･･だけどやらなきゃ自分が殺されてしまう･･･
「生きるって、簡単じゃない。」
公式HPにこのテロップが記載されていますが、正にこの通りの世界だと思います。

こんな世界観で共にパーティーを組んだメンバーは以下の通りです。
ハルヒロ（CV：細谷佳正さん）：この作品の主人公で職業は盗賊です。盗賊の職業やスキルを教えてくれるバルバラ先生（CV：能登麻美子さん）とのやり取りは羨ましい限りでした。
普段は温厚で悩める少年ですが、仲間を守るためにならどんな危険に身を投じるのを厭わない芯の強さを持っています。
普段は温厚な性格であるが故、4話で怒りの感情を露わにした「いいよっっ･･･」の台詞が胸に突き刺さりました。

ランタ（CV：吉野裕之さん）：お調子者で口が悪く誤解されやすい性格ですが、相手の出方を見て自分の言動を変えているので根は真っ直ぐなんだと思います。
何より何事も最後まで諦めない執念と行動力は見習うべきモノがあると思います。
「シホル･･･悪かったな･･･お前にそんな事を言わせるつもりじゃなくってだな･･･」
ランタの優しさを感じた一言でした^^

マナト（CV：島崎信長さん）：パーティーのリーダー格で、常に皆んなに目を配っています。
戦闘でも前に後ろにと懸命な活躍を見せる彼は頼もしいの一言です。
言葉数は決して多くありませんが普段の言動から優しさがにじみ出ている･･･そんな感じです。
商店街でのやり取り･･･橋の上の朝ごはん･･･シホルとの接点が印象的です。

モグゾー（CV：落合福嗣さん）：大きな身体でおっとりとした感じなのですが、手先が器用で料理も上手･･･誰よりも早く起きて皆んなの朝食を準備するシーンを何度か見かけましたが、彼の言動は優しさに溢れています。
チームの盾役として戦闘では常に最前線･･･これからも少しずつ装備を充実していって欲しいと思います。

ユメ（CV：小松未可子さん）：明るく元気で屈託の無い笑顔･･･いえ、天使の笑顔の持ち主だと思います。本人はちっぱいと言われることを気にしているようですが、ハルヒロは（心の中で）否定していましたし、私もそんな風には見えないと思います。
チームの中のムードメーカー的な存在･･･弓もナイフのスキルも着実に向上していますし、最早パーティーに欠かせない存在だと思います。
実はメリィが登場するまで私の一推しキャラでした(//∇//)

シホル（CV：照井春佳さん）：引っ込み思案･･･臆病･･･内気･･･自ら率先して何かをするタイプではありませんが、パーティーの中では魔法使いとして活躍します。物語の進展に伴いパワーアップしていく彼女の魔法も見どころですが、何より詠唱の時の立ち振る舞いが可愛いのも魅力の一つです。
彼女が4話終盤で事の真相を知り、静寂の中激しく乱れる息遣い･･･全身に伝播した震えは止まらなくて･･･ただ後ずさりしながら足が縺れて倒れ込んじゃうシーン･･･何度見ても涙が出ます。
そんな彼女がいつも身につけている緑色の髪飾り･･･とても似合っていると思います^^

メリィ（CV：安済知佳さん）：時折見せる影も協調性の無さも･･･消せない過去の記憶に囚われたまま時間だけが過ぎてしまったから･･･
海の底で凍てついたメリィの心はもう溶けることは無い･･･あれだけの事をしたんだからから溶かしちゃいけない･･･
本人はそう思っていたのではないでしょうか。
でも、そこに至るまで誰よりも優しく誰よりも頑張っていた事をみんな知っています。
ダンジョンの中での悲痛な叫び･･･伸ばした手が届かなくて遠ざかっていく姿･･･きっと身を斬られるより辛くて目に焼き付いたその場面だけが何度もフラッシュバックのように蘇ってくる元凶･･･何度見ても涙が止まりません。
前に一歩踏み出そうとする彼女･･･自分に言い聞かせるように紡いだ一言一言に彼女の決心の強さを感じました。
そしてディスペル･･･涙腺が全く言う事を聞いてくれないシーンです。
もう絶対繰り返したくない･･･と思っている矢先に起こったパーティー絶対絶命の危機･･･
満身創痍の彼女ですが、咄嗟に誰よりも先に助けに行こうと崖を降りようとする言動に彼女の思いが痛いほど伝わってきます･･･
「離してっ･･･」たった一言ですが、私の涙腺が崩壊するには十分過ぎる破壊力でした^^;
物語終盤で見せてくれた彼女の可愛らしさは反則級？　それともメガトン級？
完走して･･･メリィがこの作品一推しのキャラになりました。

この作品の音楽担当は(K)NoW_NAMEさんで、OP,ED,挿入歌も担当されています。
オープニングテーマは、「Knew day」
エンディングテーマは、「Harvest」
OP,EDも好きですが、挿入歌･･･中でも4話で流れた「rainy tone」が抜群に良いです。
車通勤の際にアニソンを聞いているのですが、「rainy tone」が流れると、物語の情景が鮮明に脳裏に蘇って･･･運転中にも関わらず目頭が熱くなる事があります。
今期もアニソンBEST10を作成する予定ですが、「rainy tone」は1位になると思います。

1クール12話の作品で、私の今期一推しの作品で、お気に入りの棚行きの作品になると思います。
もう何度見返しただろう･･･最終話なんて1週間ほぼ毎日見てその度に涙して･･･すると4話が見たくなり6話が見たくなり･･･と後半はほぼ「グリムガル祭り」状態でした^^;
この祭りによって今期の未視聴作品が山のように溜まってしまいましたが、見たいときに見たい作品を見たい分だけ視聴する･･･時間の許す限りこのスタンスを貫き通していきたいと思います。

気になるのは続編です･･･冬アニメの中でも既に何作か続編の決まった作品があります。
原作のストックもあるようですし･･･何よりこの作品の続きが見たいです。
気になるので色々調べたいところですが、ネタバレ情報には接触したくないので躊躇しています。
続編が制作される事を切に願っています。