蟹チャーハン さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
少女がガラス玉を通してみる世界は未来か願望か
dアニメストア経由でひょこひょこ選んだこの作品。
純文学ぽいノリだとかで、物語が難解との評なんですね。
(本当に作画はきれいでした。すごーーいと思った)
たしかに、文学+異能ファンタジー要素ありで、
その異能について核心にふれることはしないままエンディング
をむかえるので、視聴者を選んだのは確かだと思います。
自分なりの見解を書いてみますが、さてはてw
とある田舎の港町で暮らす仲良し男女5人組+1人の青春夏物語。
地元つながりの幼馴染の集まりで楽しく過ごしていたはずだったが、
高校生にもなって、それぞれ特定の相手に恋愛感情を抱くものも現れた。
そのメンバーのひとりの透子には、みんなにナイショに
している秘密があった。
それは未来を見通す力。
不意に目の前に未来とおぼしき光景が広がるというのだが、
いつ見えるかも、いつのことなのかもわからない。
ごくたまに見える程度なので、本人はさほど気にしてもおらず、
親友の幸にだけ教えていたが、不意に街に現れた駆(かける)の
存在により、その力を強く意識するようになる。
駆によれば、2人が一緒にいることが重要なのだという。
透子は未来の映像が見えても音は聞こえず、
駆は音が聞こえても映像は見えないけれど、
2人が一緒にいれば、お互いに音も映像も聞こえて見えるらしい。
謎を解明したがる駆に付き合い、日々を過ごすうちに互いを意識する二人。
恋愛感情にも似た気持ちをいだくが、二人が近くにいることで、
いつもより力の発動が頻繁になり、それは見たくない光景を
見てしまうきっかけにもつながった。。。
とまぁ、ギリギリ、ネタバレにならない程度の
ストーリーはこんなところで~。
たしかにこの物語で異能は登場しますが、
実はそんなに重要だと思ってません。
その意味は後で書くとして、あくまで主題は
透子の初恋と、胸に抱いた感情とでもいうべきか。
透子に影響を与えやすい仲良しグループ内での
恋愛感情による変化の影響も大きかったかなと。
作品上では、恋をしたときのキラキラとした内面の気持ちや感情が、
いろんなアイテムや光景をもとに心理描写されていて、
息をのむ光景を見ながら青春してるなぁ~と思わせてくれます。
楽しみ、期待、興奮、夢、希望。
恐れ、不安、傷つくことへの抵抗。
いろいろな感情が光景風景となって透子を襲うとでもいうか。
まぁ、あまり難しく考えず、異能をつきつめず、
彼ら高校生のひと夏の思い出として見ればいいのかなとも。
以下、異能についてなど、個人的解釈でのネタバレ
{netabare}
作中では透子の見る光景を未来の透視といっていますが、
個人的には透子の願望、夢だと思っています。
実際、アニメを見ていても予知できた場面はひとつもなく、
幸が入院した光景は教えてもらってから見た光景でしたんで、
すでに知っていて見たと思えば内容も大きく違わず当たり前かもと。
大事なのは、そのとき透子の心によぎる考えや思いが、
ガラスを通して色をつけて広がるといったことか。
相手の心理状態であるとかを見透かしてオーラみたいなものを
強く意識してるのかもしれません。
その透子の見る世界の音を聞くことのできる駆ですが、
彼が本当に実在していたのかも定かではないと思っています。 ←そうきたか
突然現れて、ひと夏限りで去っていった駆。
親の都合というけど、それにしてはあまりに限定ぽいですね。
いかにもな雰囲気。
ラスト、通学の途中で振り返る透子のそばに駆がいれば
実在したのかなと思ったけど、いませんでしたしね。
駆を特徴づけるのが、ある日突然、周囲の人々が駆の存在や
記憶を忘れてしまう「唐突な当たり前の孤独」という現象です。
なんの痕跡も残さず誰の記憶にも残らず、不意に消える存在という設定が、
そのあやうさを醸し出しています。
もしくは、そんな都合がよいとも不都合ともいえることが
ありえるのか、そう思うなら、やはりないと考えてよいのかもです。
それは、花火を鑑賞していたはずなのに、
光とともに消えていった友人たちと同じで、
透子の見た夢と考えた方が自然かなと。
透子のお母さんも、昔、そんなキラキラした光景をみたけど、
あれはなんだったのかしらねと、いつしかもっと現実はスゴイと
思うようになって見なくなったと語っていましたが、
つまり思春期特有の想像力とか思い込みの類レベルにまで
話しを落とそうと思えば、それもできるんだろうと思います。
不思議なことなんてない。
そもそも、あれは特別な能力などでもないのかもしれない。
誰でも恋する相手を思っていれば、時計の時刻を見て
何をしてるか想像もするだろうし、夢だってみる。
そのとき相手がしている光景が広がりもするでしょう。
作中で漱石の夢の小説が出てきます。
たしかあれは10日間、見た夢を綴った小説とかでしたよね。
同じく登場するカフカもそう。
王国だとイメージがわかりにくいけど、
変身なら知っている人も多いでしょう。
ある朝、起きたら虫になっていたというアレです。
少女の多感な感情の揺れから見た夢。
グループ内での恋愛は禁止だったはずなのに、
気がつけば誰も彼もが恋していた。
それを知らないのはお前だけだと駆にいわれたけど、
本当はわかっていたのかもしれません。
核心はもてなくても気がついていたかもしれません。
雪哉の感情、祐の感情、幸の感情。
鈍感アピールしていたけど、雰囲気からバレバレでしたしねw
とまぁ、乙女の夢物語と思って見れば、意外にすんなり楽しめましたw
ちなみに、静岡の熱海では夏と冬のそれぞれで、
冬は12月に花火大会をするんですが、かなり珍しいと思ってます。
他の地域でもやるところがあるのだろうか~。
それも雪がふる中でとか。。。そこらへんも夢ぽいなぁ~とw
{/netabare}