シャベール大佐 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
孤児たちの鉄の絆
火星の民間警備会社で、虐げられ、こき使われている孤児の少年たちが、火星独立運動の象徴であるヒロインとともに戦いに巻き込まれていく姿を描くガンダム作品。全25話。
とりあえず最後まで観終わっての印象ですが、非常に面白いと思った部分と、あまり感心しない部分があって、自分の中でこの作品をどう評価していいのか悩むのですが、まあ全体を平均すると良い作品だったという感じでしょうか。
まず、良かった部分については、なんといっても主人公たちの小さな組織「鉄華団」が、様々な勢力から干渉や攻撃を受ける中を、生き残っていこうと必死に戦っていく姿の描写です。血の繋がらない孤児の集団ですが、本当の家族のような固い絆と厚い信頼で結ばれている様子が丁寧に描かれていて、仲間がピンチになったときにギリギリのタイミングで助けが現れる場面など、単純ですが熱くなります。戦闘シーンも、泥臭く、残酷で、綺麗事ではない非情な現実といった雰囲気が良かったです。
一方で、話の焦点が鉄華団という小さな人間集団から、革命や政治といった大きなスケールの事象に移ると、途端に物語が陳腐になったように感じられました。こういう感覚は、この作品に限らず他のロボット戦争アニメなどでも度々感じることがありますが、主人公とその周辺の人間関係や、局地での戦闘などを描くのと、国またはそれに準じる大勢力の戦争や政争を描くのとでは、また別の視点が求められるので、一つの作品で上手に両立させるのはなかなか難しいような気はします。また、各回の終了間際に劇的な場面を入れてくる手法は非常に燃えるのですが、ちょっと多用しすぎて慣れてしまい、終盤ではややインパクトが薄れてきたのが残念でした。
音楽は、1クール目のED曲がとても良かったです。
全体的に、モビルスーツによる戦闘を見せるよりも、仲間や家族の絆など、人と人との関係を描くことがメインの作風に感じました。2期の放送がすでに決定しているようで、この1期では人間らしさが一部欠落しているようだった主人公のミカヅキが、2期では一体どのように変化するのか、あるいは変わらないのか、そのあたりに注目したいと思います。