29号 さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
つまらない訳では無いがワンパンチ足りない作品
原作は十文字青氏の同名ライトノベル。
イラストはイラストレーターの白井鋭利氏。
アニメーション制作はA-1 Pictures。
目が覚めたら異世界にいたという所から物語はスタートします。
戦士や盗賊などの職業という概念が存在し、某有名RPGドラ◯エを彷彿とさせるファンタジーで、ホームページのトップにも「生きるって簡単じゃない」とあるように「生」がテーマの1つと言える作品です。
特筆すべきは作画で、大変綺麗です。特に水彩画を使ったような色鮮やかで柔らかいタッチの背景が印象的です。
ここまで背景に力を入れていると肝心の動きの方が残念な事になりがちですが、そこはさすがソードアート・オンラインなどを手掛けたA-1 Picturesさんきっちりと仕事をされています。
声優陣ですが、ここ数年で主役級の役が多くなった細谷さんが主人公ハルヒロの声を演じます。
他にはウザい役を演じれば個人的には1番であろうと思っている吉野裕行さんや、島崎信長さん、小松未可子さんなど…。
1番驚いたのは、落合元中日監督(現GM)の息子落合福嗣君が出演している事です。お世辞でも上手いとは言い難いが…。
まずこの作品で面白いと思ったのは、今までのファンタジーとは違い妙にリアリティーがあるという点です。
突っ込んで言えば、「お金が無ければ生活出来ない」など少し切り口が違います。
そして何よりモンスターとの戦闘が非常に面白い。
モンスターが出現し戦闘になり、モンスターを討伐するという基本的な流れは同じですが、初期モンスター1匹にかなり苦戦し初っ端からピンチ。危機迫る表情や空気感は普通の作品とは違います。
そして今までのファンタジーアニメのモンスターは、謂わば倒されるために出現し、当然の如く倒されるのが常ですが、この作品は敵モンスターも同じように危機迫る死が表現されています。
そしてそこに武器を振るう事への恐怖や、相手(モンスター)を傷付ける事への葛藤、モンスターの苦痛に歪む顔など今まではスルーされる所まで描く事で、ファンタジーながらよりリアルに近い印象を与えてくれます。
しかし、慣れとは怖いもので、話が進みにつれて当然この感じは薄くなってきます。中盤以降は何のためらいもなくモンスターを倒します。
とまぁここまで良い点を述べてきましたが、当然の良い点だけではありません。
まず演出がわかりやすく、次の展開が簡単に読めます。
{netabare}
1番気になったのはマナトの件。
パーティーのリーダーで仲間をまとめたりと面倒見の良いかなりの好青年。1話の視聴を終えてすぐにこのキャラは死ぬか、裏切るやろうと思ったら案の定分かりやすい死亡フラグ。
{/netabare}
世界観や雰囲気、戦闘に盛り込んだ心理的な描写やリアリティー、鮮やかな背景に丁寧な作画など良い点はたくさんあるにも関わらず、肝心のストーリーそのものが残念です。
{netabare}
なぜグリムガルに来たのか?
義勇兵の敵とは何なのか?
などなど結局触れられないまま…。
{/netabare}
テンポもかなりスローで、展開も単調。8話まで視聴を終えた所で嫌な予感はしましたが…。
まぁ最終的には何となく着地させたけど何かしっくり来ない感じ。
つまらない訳では無いが、なんかワンパンチ足りない作品です。
しかしシホルのパイスラッシャーの威力は凄まじい。
おっぱい星人の同志諸君には激しく賛同いただけると思います。