moaimoai さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
余白と粗
これはこれでまとまっていると思うのだけれど、特に余韻は残らなかった。が正直な感想です。
原作の内容(終りまで)知っていたことで駆け足で過ぎた、特に残り2話に関しては画面で展開される出来事を"ただ眺めるだけ""目で見たものだけで完結する"
ニュースや情報にはフローとストックがありますが、フローはそれ単体で完結することが多いんですよね。何月何日に○○が△△で××をした。
関連・企業・業界の動向を追って今後の展開を予想するなど、何か目的を持ったり、興味があるものでないと"他のフロー情報が入り忘れる"なんてことはザラ
対してストックは"自分事"ととして保存・吸収していく。それは自分のこれまで経験したこととリンクしたり、全く違う分野だとしても自分が大切だと思うこと・考えと共通する部分を発見したり…
逆に意味がわからない・何故か腑に落ちない・もっと言えば自分とは合わない。
「それは何故?」
と、理由を考えていくうちに自分と向き合い、新しい発見があったり…
この感覚は頭で今起きてる・目にしてる状況を理解することとは違うんですよね。
例えば{netabare}介護経験者が、主人公の母が眠ったままの息子と過ごした15年の場面をみたとき思うことは「大変だった」「泣ける…」の一言で片付けられないかもしれない。自分が接してきた現実・経験が、アニメで削ぎ落とされた心理描写となればなるほどに。
「現実はこんなに甘くない」「あの人のことを思い出してしまう」と視聴をやめる人がいても全くおかしな事ではない。
別の人はたった1場面見ただけでも、自分のこれまでの日々がブワッと体に広がり、感情を抑えることが出来なくなるかもしれない(主人公の母の思いを悟り、涙が溢れたり)。{/netabare}
頭で理解出来ても気持ちが拒むことがあるように、アニメから勝手に離れて(又は極度に入り込んで)色々な思い・考え・閃きが巡る感覚。
今作は終盤まではそうした感覚に浸れる"余白"があったと感じていたものの
ラスト2話は飛ばし飛ばしで余白というより粗・穴が目立ち、その度に飛ばされた状況を理解し、頭で前の場面と次の展開とを繋いでいく事に終始。
◆加代◆
{netabare}加代との再会で、グッと来たのはアニメ前半〜中盤で丁寧に物語を紡いだからこその感情移入でした。{/netabare}
◆犯人◆
{netabare}こと、八代との決戦は正直残念でしたね…
アニメで久美ちゃんの必要性がそこまでなかったことがかなり影響しており
あれではかなり小物感…{/netabare}
◆ラスト◆
{netabare}の愛梨との再会はやはり良かったです…泣
悟の表情の変化
信じ通した思いが込み上げ、嬉しさと同時にリバイバル前に出会った愛梨が蘇り、
あの彼女とはもう逢えない。そんな切なさが、少し悲しみ混じりの笑顔に現れていて胸がキュッとなってしまった…泣{/netabare}
◆悟の声優起用◆
はじめは特に子供時代は違和感ありました。が、慣れと言えばそうなのですが最終的にはこれはこれでアリかなと。
リバイバルで子供時代に戻った悟は、周りの人が時々感じるようにどこか違和感がある。
悟から感じるものは、得体の知れないものに対する恐怖・好奇心という安定とは対極の不安感。
「声優とはこうあるべき」という型を器用にこなすタイプでなく、自然体で演じる土屋太鳳さんの声。決して上手いとは言えないのだけれど、安心感がないことで周りの小学生とは違う"異質な悟"が生まれていたなと
勿論、他の声優さんが演じた悟も見たかった気持ちは今でもありますが…笑
中盤まで入り込んで楽しめただけに
14、15話構成だったら化けたなと、惜しいと感じた作品でした…