Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
その手に掴んだのは・・・幸せ?
この作品の原作は未読ですが、CVに悠木碧さん、赤﨑千夏さんが出演されると知って視聴を決めた作品です。
ノイタミナ枠・・・これまであの花や君嘘などの名作を輩出してきましたが、ここ最近のノイタミナ作品ははチャレンジャー・・・というか難しい作品が多かったので、今回の作品がどの様な物語なのかがとても楽しみでした。
この物語の主人公は、売れない漫画家の傍らピザ屋でバイトをする29歳の藤沼悟。
彼は「リバイバル」という特殊能力の持ち主でした。この能力は、事件や事故などの悪い事が起こると、その直前にタイムスリップしてしまう・・・というもので、その原因を取り除かない限り自分の意志とは無関係に永遠と時間を遡ってしまう能力なんです。
「あの時こうしていれば・・・」
こういう後悔をこれまで何度となく繰り返してきました。
この能力があれば、あの時をもう一度やり直せるかもしれない・・・
思考の安直な私は直ぐそんな事を思い浮かべましたが、事件や事故じゃないと戻れないとなると、事と次第によってはとんでもない事に巻き込まれる可能性がある訳です。
現に悟はこの能力に不満を持っていましたから・・・
という事は、このリバイバルの能力が発動しない事が幸せを意味するのだと思います。
平凡かもしれない・・・他人と比較して見劣りする自分に嫌気が差すかもしれない・・・
日常生活の全てが満足・・・という訳にはいかないと思いますが、安心や安定の見返りだと思うと何となく納得できるような気がします。
悟も母親との二人暮らし・・・狭いアパートで決して生活は裕福ではありませんでしたが、心の充足感は確かにあったと思います。
悟の母親・・・元報道の仕事に就いていたため洞察力の鋭さは天下一品・・・悟の良き理解者です。
そして何より見た目が若いのもポイントが高い・・・私が悟だったらこの生活を守りたいと思うと思います。
でも、世の中はそんな順風満帆には行かず・・・悟のリバイバルが発動してしまうのです。
目の前に広がっていたのは、きっとこの世で一番見たくない光景・・・
心に傷を負いながら遡った先は1988年・・・悟は記憶を残したまま小学生に戻っていました。
悟のリバイバルは事件・事故の原因となる直前に戻ります・・・
これまで過ごしていたのは2006年・・・それが1988年まで遡るの?
そんな長い間続いていた事件だったの・・・?
1988年に何が起こったっけ・・・?
「はっ、そうだ・・・」
2006年の事件の糸口を1988年に見つけた悟・・・そして彼の孤軍奮闘が始まり、物語が動いていきます。
物語には鍵となる3人の女性が登場します。
一人は悟の母親・・・
もう一人は、小学生時代のクラスメイトだった雛月 加代・・・この雛月のCVが悠木さんです。
「バカなの?」が口癖の彼女・・・最初は他人を寄せ付けないオーラを発していました。
それも原因があるんですけれど・・・。
でも悟や仲間との触れ合いによって凍てついた彼女の心が少しづつ溶けていくんです。
それが分かるのが「バカなの?」の口癖・・・最初は思い切りトゲがありましたが、物語の進展に伴いその口癖に優しさが注入されていくのが分かります。
そんな彼女が望んでいたのは、誰もが普通に持っている家族で過ごす当たり前の暮らし・・・
それを印象付けたのが8話での何気ない朝の一幕・・・の筈なのですが、雛月は号泣するんです。
感じたのは母親の温かさ・・・これには私も思い切り貰い泣きです^^;
悠木さん・・・やっぱり最高の声優さんです。何度も彼女の演技に引っ張られてしまいましたが、それがとても心地良いんですよね^^
雛月が悠木さんで良かった・・・そう思います。
そして最後の一人は片桐 愛梨・・・彼女のCVが赤崎さんです。
ピザ屋で一緒にアルバイトをしていた彼女・・・悟のピンチに手を差し出した彼女・・・
「愛梨の信じたいは自分のためだよ。誰かに信じて欲しいの裏返しなんだよ。」
これは名言だと思います。
そして・・・これは偶然なのでしょうが愛梨の口癖も「馬鹿なの?」でした。
悟は2006年に起きた惨劇を防ぐことができるのか…1988年に起きた事件との関連は…?
気になる方は是非本編でご確認下さい。
毎回30分があっという間で、しかも本当に気になる場面で物語が終わることからこの作品も続きが気になって仕方ない作品でした。
オープニングテーマは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONさんの「Re:Re:」
エンディングテーマは、さユりさんの「それは小さな光のような」
さユりさんがこの曲を発表した時、相当自信があるようなコメントをされていたのが印象的です。
もともとシンガーソングライターで「乱歩奇譚 Game of Laplace」のエンディングは自身で作詞・作曲された歌を歌っていましたが、今回の作詞・作曲者を見てビックリ…何と梶浦由記さんだったんですね。この組み合わせは想定外でした^^
これはさユりさんが自信あるコメントをされるのも激しく納得できますし、事実良い曲だと思います。
間違いなく今期のアニソンBEST10に入る曲になると思います。
1クール12話の作品でした。12話でしっかりと物語が纏まっていたと思います。
強いて欲を出すなら、愛梨との絡みがもう少し欲しかったと思います。
それを差し引いても十分見応えのある作品でした。
振り返ってみるとノイタミナでミステリー系の作品が続いた訳ですが、個人的にはこちらの作品の方が好みでした^^
このような面白い作品が次々と発信されることを期待しています^^