なにもない さんの感想・評価
1.4
物語 : 1.0
作画 : 1.0
声優 : 3.0
音楽 : 1.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
荒野とは名ばかりのお花畑
・ロクに描写されない劇中作
SHIROBAKOやバクマン。の美少女ゲーム版と期待すると
確実に期待を裏切られます。
主人公文太たちが作っている美少女ゲーム「朝森さん家の24時」は作中で殆ど内容が説明されません
あるのは一瞬写る絵や文太たちが喋る一言二言の設定や台詞のみ
どんな内容のゲームを作ってるのかいまいち分からない状態が最後まで続きます。
・形だけの「美少女ゲーム製作」風景
ゲームの内容が曖昧な上製作風景も単調
「○○できたよ~」→「よしこれは良いゲームになるぞ!」
ロクに過程が描かれずこんなシーンばかりで製作は進みます。
スランプやメンバーの勝手な行動等のトラブルもありますが、
それらも「とりあえずやったらうまくいった」的な解決ばかり
自分勝手な行動をしたキャラが株を下げていくだけ
とにかく描写が薄く、美少女ゲーム製作あるあるネタ的なものも殆どなし
ボイス担当の夕夏が喘ぎ声の演じ方に悩むとか、
原画担当のうぐいすが18禁シーンを描くのに四苦八苦するみたいなシーンは全くありません
全体的なゲーム描写が薄いせいで主人公たちが作っているゲームが全年齢なのか18禁なのかすらも曖昧なものになってしまっています。
「俺たちのゲームの体験版がツイッターで絶賛されてる!」というシーンが劇中でありましたが
上記のゲーム製作描写がお粗末すぎたため非常に白けました。
・ライバル会社との対決
終盤にポッと出てきたライバル会社の女社長が
凄まじく厚かましい言動でメンバーを引き抜こうとし、
怒った主人公は水をバシャ!と浴びせて女社長激怒
負けた方が勝者の命令を聞く対決に突入!
何年年前の作品でしょうかこれ?いくらなんでも古臭すぎます
決着も「あっちよりこっちの方が安かったから売上本数で上回った」というなんともアッサリなオチ
創作風景を扱う作品の定番である「作品をさらに改良しライバル作に勝つ」すら放棄しています。
・ヒロインの隠していた衝撃の事実「兄の借金」
黒田兄「いや~僕の借金返済のためにありがとう~」
メンバーたち「え?なにそれ・・・」
これまで主人公たちにビシバシ偉い態度で指示を出していたヒロインの黒田さん
彼女が売れるゲームを目指していた理由、それは「ゲームが売れず失敗した兄の多額の借金の返済」
こんな重大な理由を彼女は終盤のゲーム完成間際まで黙っていました。
彼女は話すつもりだったらしいですが、あまりにも遅すぎます。
黒田さんは今回の利益を元手にフルプライスの次作を作る気だったらしいですが
そこからどれくらいが兄の借金返済に使われるのか不明
メンバーたちが貰えるはずの報酬の比率も明言されていなかった為
劇中の利益の分配が非常に曖昧でフワフワしたものになってしまっています。深刻さが全然伝わってきません
かなり重大な問題でしたがメンバーたちはゲームを製作する充実さに
目覚めているためアッサリ黒田さんを許し平手打ち一発で仲直り
Aパート(約10~13分)程度の尺で解決しました。
やる必要があったのでしょうかこの展開?
・もう乾いた笑いしか出ないラスト
売上本数対決に勝った主人公たち
敗北しても謝ろうとせずヒステリックに叫ぶ女社長相手
「今回の勝負はなかったことにする代わりに貸し1で」と黒田さんはこの対決を締めくくり、こう言います。
「貸しを作るのって快感ね♪」
・・・・・いや、それ仲間たちのおかげで借金返済できた君が言ったらいけないでしょ
黒田兄は借金を返済してもらっても懲りずに次回作製作に没頭
海外に取材旅行に行きました。
製作側はこの終盤の展開で何を伝えたかったのでしょうか?
「エロゲー業界はこんなクズで自分勝手な連中ばっかなんだよ」とでも言いたかったのでしょうか?
・まとめ
色々な要素がボヤけていて大雑把
劇中で厳しい業界のことを「荒野」と表現していましたが
全て予定調和でアッサリ進む主人公たちは全然荒野を歩いてるように見えませんでした。
「荒野」というより「お花畑」を歩いていた印象です。