伝説のししとう さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
最高峰のエンターテイメント
私はまどマギやギアスなどの、ストーリー性の高いアニメが大好きだが、本作品を視聴して、やはりアニメは楽しんで観るのが一番だということを再認識させられた。
私は戦車に対してなんの興味もなかった。視聴理由は、監督が「SHIROBAKO」と同じ水島努監督であることと、近々劇場版が公開されることを知ったからである。
こんなアニメにハマってしまうことになるとは……
この作品、冷静に観てしまうと、ご都合主義のカタマリである。{netabare}まず、主人公である西住みほは、砲台からずっと頭を出している。砲撃を受ければ死に至るだろう。それに、市街地で戦車戦が行われる場合もある。危険極まりない。他にも、全国戦車道選手権でありながら、イギリス、アメリカ、イタリア、ソ連各国と戦うのである。ダージリンやカチューシャは日本人という設定なのか?学園艦のあちこちに戦車が捨てられていたり、麻子がチートすぎたり…キリがないのでこの辺で止める。{/netabare}
しかし、ガルパンの戦車戦表現の素晴らしさは、それを許されるだけの包容力を持っている。{netabare}最終話Aパートでのマウス撃破シーンはガルパン屈指の名シーンだろう。他にも、プラウダ戦での生徒会チームの孤軍奮闘、そしてラストの西住姉妹対決は、ガルパンの集大成にして最高の名勝負だ。{/netabare}とにかく圧倒的な戦闘シーンの連続である。
そもそも、戦車道という設定からしておかしいのだから、そんなところに突っ込んで本編を楽しめないのであれば、まずアニメなんか観ないほうがいい。
だが、ガルパンに人間ドラマとしての深みはない。これに関しては否定しないが、ガルパンに人間ドラマを求めるという時点で、間違っているのだろう。
ガルパンの魅力はなんと言っても戦車戦である。過去何十年遡っても、ここまで戦車戦しているアニメはないし、制作側だって、この戦車戦をいかに魅力的にするかに全てを懸けている。作画が追いつかなくて2話落としたようだが、細部までこだわった戦車の作画からは、制作側の戦車への半端ない愛情が伝わってくる。これらは、ストーリーよりも優先順位が高いし、その一番の魅力である戦車戦を削ってまで、個々のキャラを徹底的に掘り下げる必要はない。
それに、ガルパンには「チームドラマ」がある。ガルパンには非常に多くのキャラが登場するが、制作側も一人一人の名前を覚えられるようには作ってないし、覚えようとする必要もない。ただ、バレー部、歴女チーム、一年生チーム…と、チームに明確な性格付けをしているのがうまい。
その上で、深い部分の描写はみほたちあんこうチームにとどめており、最終的に、一つの学校チームとしての絆が生まれていく展開が素晴らしい。ライバル校のキャラも、きっちりと描くのは2、3人にとどめているのもいい。
{netabare}ストーリーも王道でいい。確かにみほが来たからといって、大洗が他と比べて弱小チームであることに変わりはないし、決勝戦までこれただけでも奇跡的だろう。決勝戦では黒森峰に見事勝利して優勝するが、戦力比は5倍以上はあったと思う。
それをご都合主義だと捉えることを否定はしないが、これ以上の胸熱展開が作れただろうか?視聴者だって、最後に負けるガルパンなんて求めていないし観たくもない。ガルパンはそれでいい。{/netabare}
ガルパンのストーリーに対する唯一の不満は、{netabare}2回戦のアンツィオ戦をすっ飛ばしたことだが、これに関してはOVAで超補完してくれているので、特に問題はない。{/netabare}
いろいろ書いてきたが、誰がなんと言おうと、私はガルパンは1クールアニメとしては傑作だと思っているし、最高峰のエンターテイメントだ!
余談1
{netabare}ご都合主義がないアニメなどまあ存在しないだろうが、できるだけリアリティを出して欲しいのが本音である。
私が絶対に許せないご都合主義は、「{netabare}一度死んだはずの人間が生き返る{/netabare}」
これだけは許せないし、これ以上のご都合主義はない。作品名を出したらネタバレになるので出さないが、最終話とかでこれをやられると本当にがっかりする。{/netabare}
余談2
なんかやたらと人気のあるダージリン様の格言をまとめてみた。ちなみに私は秋山殿推しである。
{netabare}「どんな走りをしようとも、我が校の戦車は一滴たりとも紅茶をこぼしたりはしないわ。」
「イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばない。」
「アメリカ大統領が自慢したそうよ、我が国にはなんでもあるって。そしたら外国の記者が質問したんですって。地獄のホットラインもですか?って。」
「サンドイッチはね、パンよりも中のきゅうりが一番おいしいの。挟まれた方がいい味だすのよ。」
「プラウダの隊長は楽しんでるのよ、この状況を。彼女は搾取するのが大好きなの、プライドをね。」
「四本足の馬でさえつまずく。」
「恋と戦いはあらゆることが正当化されるのよ。」
「土壇場を乗り切るのは勇猛さじゃないわ。冷静な計算の上に立った捨て身の精神よ。」
最後の言葉はどうやら野村克也さんの言葉が元ネタらしい。今年こそ、阪神に優勝を!{/netabare}