oneandonly さんの感想・評価
2.6
物語 : 1.5
作画 : 3.0
声優 : 2.5
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
戦車や砲撃の音響を楽しむ作品か
世界観:6
ストーリー:5
リアリティ:1
キャラクター:3
情感:4
合計:19
戦車を使った武道「戦車道」が華道や茶道と
並んで大和撫子のたしなみとされている世界。
県立大洗女子学園に転校生・西住みほがやってきた。
戦車道が嫌いで、戦車道のない大洗女子を選んだみほ。
ところが転校そうそう、生徒会長に呼び出され、
必修選択科目で戦車道を選択し、
戦車道全国大会に出場するよう強要される。
しかも、集まったメンバーは個性派ばかり。
(公式サイトより)
友人の紹介がきっかけでした。SHIROBAKOの水島努監督の作品であり、劇場版も好評だったようで、自分もファンになるだろうかと期待しつつ視聴を開始しました。
しかし、これがどうも盛り上がっていかない。
戦車道の設定自体を否定する気はありませんが、これを土台とした世界での人間が描かれていないのです。
以下、率直な辛口コメントになります。
{netabare}まず、違和感があったのが戦車道の授業中に、フィールド上に設置された吊り橋から転落しそうになるシーン。落ちれば死ぬでしょうね。そのようなフィールドでこの武道が行われるのは安全面を考えればありえないです。
また、市街地もフィールドとなっていましたが、これも事故に巻き込んでしまうおそれがあり、非現実的です。自宅が砲撃されたら建て直しに補助金が出るような台詞がありましたが、家族の命や思い出の品などが破壊されるおそれは考えないのでしょうか。
戦車をリアルに描けば描くほど、その砲撃は殺傷能力を持つ戦争の道具となります(実際、実弾を使っているようでしたし)。
このような状況下で、戦車道のメンバーたちは死の恐怖を感じておらず、主人公は砲台からずっと頭を出しています。砲弾の直撃を受ければ即死です。逆に、人殺しをしてしまうかもしれないという認識も見受けられません。途中から、生身の人間には思えなかったですね。。
安全性も確保されていることが前提で、それを含めて設定であって、リアリティを求めないでくださいという作品だということも頭では理解しているのですが、リアリティ無視ならどこを楽しめば良いのか。
戦車道の大会のトーナメントを戦っていくだけのストーリー。優勝しなければ廃校になる(そのために戦車道が再開した)というのも納得しがたい展開ですが、これをストレートに優勝してよかったねというだけのお話ではあまりにもペラい。
戦車道をやめるために戦車道のない学校を選んだはず(そこには、家元である母や姉への反抗心があり、また、昨年の大会で自分が原因で10連覇を逃したという過去もあり、それなりに重い選択であったはず)の主人公がなぜ簡単に戦車道をやることにしたのかも説得力がありません。
主人公は戦った相手校の人たちが応援に来てくれるほどに敵を作らないタイプのようで、家族以外には人間関係の諍いもなし。主人公以外でも人間ドラマらしいシーンが思い浮かばないです。
大会はスタンドで観戦する人たちがいましたが、雪の降る寒い場所で傘もささず、3時間も試合が膠着状態になってそのまま観ているというのは不自然です。主人公たちは空腹や寒さを描いていましたが、そんな状況では観客も帰るでしょう。あ、またリアリティ面に突っ込んでしまった。{/netabare}
どんな奇抜な設定でも、それに根差した人間ドラマを見るのが好きなのですが、結局のところ本作は取っ掛かりを見つけられずに終わってしまいました。
唯一推せるのは戦車や砲撃の音響で、これは迫力があって良かったです。戦車の名前や解説が散りばめられており、ミリタリー好きには楽しめそうですね。
また、可愛いらしい女の子がたくさん出てくるので、そういうのに抵抗のない、ライトなアニメが好きな方向けだと思います。
劇場版は…、劇場で音響を楽しむべきなのでしょうね。
<2018.10.31追記>
劇場版は評価が高いので、そろそろ視聴してみようかなと思ったり、また辛口になったらどうしようかと思ったりしています。
(2016.3視聴→2019.1調整)