狗が身 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
バーニィのバカーー!!
ガンダムシリーズの中でも【反戦】を色濃く描いた本作。私的には名作と呼ぶことに異論無しです。
他のシリーズ作品とは異なり、第三者である一般人を主人公に据えたことで、今までとは違ったアプローチで戦争が描かれていることが大きな特徴ですね。
また、本作で死闘を繰り広げることとなるバーニィとクリス。この二人もまた、極端にキャラ付けをされておらず、あっさり気味ななのがかえって良かったのだと思います。
とくに秀でたセンスがあるワケではなく、大きな理想を掲げているのでもない。クリスは戦争で人が死なない為に自分のできることをする。
バーニィは学徒動員で放り込まれた戦争で自分の中の守りたいモノを自覚していく。
戦争に駆り出される多くの人もそうであろう理由で戦う二人をしっかり描いているからこそ、本作の物語に魅せられるのです。
全6話の中で戦闘シーンは少なくはありますが、その内容の濃さは保証します。
クライマックスのアレックスvsザク2改。ここに至るまでの過程がしっかり描かれているがゆえに、この戦いの虚しさに胸が締め付けられます。
追い打ちをかけるかのようなエピローグのビデオレターの演出が憎すぎます…。
トドメには、朝礼の最中耐え切れず号泣してしまうアルに対して、友人がアルを思って投げかける一言。これによって本作の重みがグッと増したように思います。
退屈な現実に嫌気が差していた思春期未満の男の子が、一介の兵士との出会いを通して、どこか他人事だった戦争を実感する。たった一文で表現できてしまうような内容を、濃厚なリアリティを伴って表した本作は、戦争から抜け出せずにいるガンダムシリーズにとっては、ある意味で貴重な一作なのかもしれません。
ポケットの中の戦争。このサブタイトルに偽り無しの名作です。