ムッツリーニ さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
荒野の果ては砂漠
業界人が自らの業界をテーマにした作品というと、アニメならSHIROBAKO、漫画ならバクマン、ちょっと外れますが声優なら「これが声優!」などが思い浮かびますが、美少女ゲーム業界をテーマにした作品は実は結構昔からあって、しかしおよそその殆どが著しく現実味を欠いた、作者の願望と逃避を煮詰めたような内容だったりするわけですが、この作品はそれらとは一線を画する雰囲気をひしひしと感じましたが、さて蓋を開けてみるとどうか。……正直、評価は渋いです。
美少女ゲームに限らずとも、とかくゲームは絵と文章と声と音楽と、それらを順序立てて表示するプログラムからなっているので、グラフィッカーとかプログラマーとか役職の名前を並べれば大体どういう役割の人なのか解りますが、名前を貼り付けただけでそれぞれがどういう仕事をどれだけやっているのかが見えてこない。そのくせ「全然寝てないよ―はー大変だー」なんて言われても、見ている側からすれば「高校生特有の寝てないアピール」と同義のイラッとくるウザさしか感じないわけで、これで「頑張るぞー!」とか言われても応援する気にはなれません。
そもそも「どういう作品を作っているのかがほとんど明かされない」のがまずもって駄目でしょう。SHIROBAKOにしろバクマンにしろ、どういう作品を書いていてどうしたら面白くなるかを模索する部分を徹底して描いていて、視聴者読者にも「観たい!」「読みたい!」と思わせる事を大事にしているのに、今作はキャラクター達の情熱が向かう先であるバックボーンが描かれないために不完全燃焼を起こしている状態です。つまりは動機付けが不十分なんですね。
この作品をみてもゲームを作る面白さや楽しさとかそういうものは全く伝わってきませんし、原作者であるタカヒロ氏のいうような「なるべく多くの人に美少女ゲーム業界のことを知ってほしい」という思いも全く受け取れません。
ではその一方で何を描いているかというと、主人公とヒロイン達の人間関係…まぁ元がギャルゲーなので仕方ない部分ではありますが、テーマがテーマだけにそちらに注力しすぎるのもどうかと思います。特に漁師の下りとか全然いらないし。
ゲームの方では主人公達のその後、社会人になった後も描かれるようですが、この内容でゲームを買う気には私はなれませんね………。