「夜ノヤッターマン(TVアニメ動画)」

総合得点
64.6
感想・評価
696
棚に入れた
3335
ランキング
3732
★★★★☆ 3.5 (696)
物語
3.3
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

正義の味方ドロンボー

 事前情報がなく、タイトルだけ知った時はエロティックな要素ありのアダルト寄りの
ヤッターマンのリメイクかと思っていた。
 「夜の・・・」というだけでそういう想像をしてしまうのは、官能小説のタイトルに
ありがちなパターンで、結構おじさん的発想。
 いざ蓋を開けてみると、ドロンボー一味の子孫が話で、本来悪役であったドロンボー一味が
善で、ヤッターマンが悪という逆転の発想が意外性があった。
 この悪のヤッターマンが支配する世界が夜ということで、こういうタイトルになったのかな。
 ストーリーは思った以上にシリアスなディストピアもので、4話の本意ではない万歳三唱
などは東アジアの某国を思わせたりする。
 このシリアス展開をベースにコメディ要素を挟む形で話が進んでいくが、このシリアスと
コメディのバランスはあまり良く感じられず、個人的にはどちらかに寄せた方が良かったように
思えた。正直なところコメディ部分は笑いどころとしては滑っていた感が強い。

 ドロンボー一味の行動パターンなどはオリジナルのそれを踏襲しており、オリジナルを
観ていた身としては嬉しいところ。
 最もオリジナルは悪役であるため、毎回負けても問題なかったが、これが主人公になって
しまうと負けるわけにはいかないか?という懸念があったが、本作はディストピア社会における
逃走劇的側面が強いため、オリジナルの展開であった「メカが爆発して、自身は自転車で逃走」
というパターンをうまいこと、「逃げ切れば勝ち」といった風に昇華させていた。
 このドロンボー自身以外にも随所にヤッターマンを始め、「タイムボカン」シリーズの
パロディと言えるような描写が多く、更に他のタツノコプロ作品からのモチーフの引用もあり、
その辺も楽しめた。

 このドロンボー一味と行動を共にすることになるガリナとアルエットだが、中の人
(吉野 裕行、伊藤 静)が2008年版のヤッターマンと同じであったりで、当初からいずれは善と
してのヤッターマンになることは予想できたが、二人ともヤッターマンになるにはあまりにも
頼りない。
 それがドロンボー一味と行動を共にすることで、レパードからは心のありようを、
ヴォルトカッツェからはメカの技術を、エレパントゥスからは肉体的強さを得ることになるが、
そういう意味はこの旅は二人がヤッターマンになるための旅であったとも言えそう。
 終盤においてヤッターマンになることを決意したアルエットは失っていた視力を取り戻すが、
この失った視力は現実逃避のメタファーであったようで、タイトルの「夜」もそうだが、本作は
こういったメタファーが結構あったりする。
 作品世界においてはヤッターマンとドロンボー一味は宿敵であることが定着しているため、
最終決戦を前に別れるヤッターマンとドロンボー一味だが、この辺は「泣いた赤鬼」的展開で
涙を誘う。

 最終決戦においては劇中でオリジナルのOPが流れたりするが、こういうのはやはり
盛り上がるもの。
 締め方もなかなか良かったが、ただ映像がOPからの流用が多いのが気になった。時間が
足りなくてOP映像を流用することで対処したのか、早くから最終話ができていて、その映像が
良かったためにOPで使用したのかは判らないけど。

 それなりにきれいに終わったし、序盤と終盤は悪くなかったが、全体を通してみるとピンと
来ない回も多く、ヤッターマンというコンテンツのポテンシャルを考えると、もっと面白く
できたんじゃないかなという思いが強い。
 特にオリジナルのヤッターマンに対して、新たな解釈で臨みたかったのか、パロディを
したかったのかが、最後まで絞り切れていなかったような気がした。

投稿 : 2016/03/20
閲覧 : 285
サンキュー:

6

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