STONE さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
今となっては逆に新鮮な王道ファンタジー
原作は未プレイ。
ソーシャルゲームが原作の作品はそれほどたいした作品でないことが多く、正直なところ
視聴前はあまり期待していなかったのだが、初回から作画のクオリティの高さに驚かされた。
のっけからファバロ・レオーネとカイザル・リドファルドのスピーディーなアクションで
始まるが、まずは勢いで魅せるやり方などはハリウッド・アクションを思わせる感じで、
なかなかいい掴みといった印象。
また単にアクションを見せるだけでなく、この中でファバロとカイザルという主要キャラの
特徴をうまいこと視聴者に紹介している。
基本的には王道ファンタジーといった印象。
最近のハイファンタジー作品はなんらかの形で現代社会と関係性があったり、冒険譚に主軸を
置いていなかったりと、独自性で個性を出そうとしている作品が多いせいか、こういう正統派の
ファンタジー冒険譚は逆に新鮮。
アメコミテイストを感じさせるキャラクターデザインや、合唱やオーケストラを使用した
荘厳なBGMなども、より王道ファンタジーらしさを感じさせてくれる。
主役のファバロだが、「調子がいい」、「抜け目がない」といった表現が似合う小悪党
タイプで、アフロヘアーの容姿も含めて、最近では珍しいタイプの主役といった印象。いかにも
小物風でありながら、自分なりの矜持を持ち合わせていたり、内には熱いものを秘めていたり
するところがなかなか憎めない感じ。
このファバロらしさに説得力を持たせていたのは吉野 裕行氏の演技が大きかったように
思える。余談だが、吉野氏に関しては、本作の放映時は「SHIROBAKO」の高梨 太郎、
「弱虫ペダル GRANDE ROAD」の荒北 靖友など、他にも印象深いキャラが多かった感が
ある。
このファバロに相対するカイザルは逆に堅物といった感で、それゆえに間が抜けているところ
など、ファバロとは対照的であることでそれぞれを際立たせている。
ヒロインの方も、メインヒロインであるアーミラは風貌こそ美少女風だが、中身は幼女然と
したギャップが面白いし、もう一人のリタは幼女のような風貌とは逆に200年以上生きている
という、これまた対照的なキャラ設定。このリタに関してはゾンビであることを利用してか、
自身の腕を、切り離してロケットパンチのように使うところがなかなか驚かされた。
ストーリーの方はあまり奇をてらったものではないものの、ていねいな作りの印象で、先が
読めない展開は最後まで飽きさせない。
壮大なスケールの話を全12回でうまくまとめられるか心配ではあったが、結果としては
うまいことまとめてくれた。ただ、話数が少ないため、もうちょっと描いてほしかったキャラも
何人か。
ラストこそアーミラが元に戻ることはなく、少々悲しい結末だったが、旅を通じての
ファバロとアーミラの繋がりの深さを感じさせるいいものであった。それまでコメディ要素で
あったファバロの「俺の目を見ろ」が、ここにきていいものに昇華していた。