sham さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
これはエロゲこれはエロゲ・・・
エロいって有名なので、完全に興味本位で見てみた。
確かにエロい。てか、これは一般アニメなどではなく、まさにエロアニメである。
いや、違う、これはアニメではなく、エロゲである。
もちろん原作はエロゲなんだが、原作の話をしているのではない。
原作はやったことないので、詳しいことは知らないが、エロゲをそのままアニメにしたっていう印象を受ける。
どういうことかというと、まず、第一に、過激なエロ描写をアニメ化に際し取り除いていない。
一応ほかの泣きゲーのエロゲの一般アニメ化は、そうした描写をなくして全年齢対象にするのが多いようだが(クラナドとかリトバスとか?)、この作品は完全に行為に及んでいる描写ですらなされている。
これをエロアニメと考えるなら、そのような性描写はなんら問題ない。しかし、一般アニメ作品と考えるとすると、それは何か意味があって描写されている必要があると個人的には考える。
さて、この作品には、性描写に深い意味付けがあるのか。
なかったとは思わない。少なからず何か感じるものがあった気がする。
しかし、過激な描写をなくして作れないこともなかったんじゃないかなぁとも感じる。要するに、必要十分には感じなかった。差しさわりがあるってほどではないので、これはこれでありだけど、なくても細やかな心情・感情などを伝えるすべはあったんじゃないかなと思った。
2つ目に、ギャルゲお馴染みのルート分岐という、ゲームならではの特性をアニメにも反映させている点である。
これも、同様のエロゲ原作アニメの多くは、メインヒロインを1本の軸として時系列ごとに進めていくのに対して、この作品は各ヒロイン全部のルートを盛り込んでいるみたいである。
これに関しては賛否両論あるだろうが、個人的には反対である。
原作をプレイしているファンにとっては全部のヒロインの話があって嬉しいかもしれない。
しかし、これは仮にもテレビアニメである。つまり制約がある。1クールしかない中で4ルート詰め込むのはいささか無理があるのではないか。
どう考えてもそれぞれの話が薄っぺらくなるに決まっている。
その上、本編とはべつにCパートのような部分でショートアニメが付随しているかのような扱いでもう1ルートの話がついている(しかも別ED曲つきで)のは余計である気が…。
物語や設定自体は、いかにも典型的な泣きゲー感がするが、悪くないと思う。
それぞれがそれぞれにいろんな思いを抱えているって感じのシリアス設定は個人的に好みだ。しかし、1ルート約3話で完結してしまうため、せっかくのシリアス設定の良さがうまく活かされていない気がする
まあ、良く言えば、よく3話くらいでそれなりにまとめたなとも言えるが。
そういう意味では、構成はうまくできていたと思う。
ちゃんと一貫してつながるように分岐点に戻って展開されていたし。
ささいな背景や理由で、一目見ただけで、あるいはちょっと優しくされただけで、主人公を好きになって、気づいたらキスして行為に及んで…
っていくらエロゲといえど、展開早すぎなんだって。
原作ではもしかしたら色々あったのかもしれないけど、アニメを見る限り、そうとしか受け取れなかった。
まぁそこは「これはエロゲこれはエロゲ…仕方ない…」と思いながら我慢してたけど。
以上のように述べるのは、同じ18禁ゲーム原作の高評価アニメ『クラナド』を念頭に置いているからである。
ほかに同様のアニメを見てないので、クラナドとしか比べられないが、同じ18禁ゲーム原作だけあって、なんとなくクラナドと雰囲気が似ているなとはじめに感じた。OPもクラナドと同じくeufoniusが担当しているせいもあるだろう。(というか、OPが一番クラナド感を感じるかも。)
だからこそ、うまくやればクラナドのように面白くできたんじゃないかと思わずにはいられなかった。
とはいえ、もっと面白くできたんじゃないかなーってだけで、総合的には思ってた以上にはよかったと思う。
数話に凝縮しなきゃいけない中での割には、登場人物の心情や葛藤を描いていたし、
OP曲『比翼の羽根』ED曲(挿入歌扱い)『ツナグキズナ』はとても聴きごたえのある曲かつ作品の世界観にもマッチしていてよかった。
もう一つのED曲『ピンキージョーンズ』も上記の2曲ほどではないが悪くはない。ももくろが歌っていることにびっくり。
また、作画も、美しく繊細な雰囲気があってよかった。キャラもだが、田舎の風景などが特にきれいに描かれていた。
エロ描写が多いし急展開ではあるが、つまらないわけではないので、「これはエロゲだ」と思ってみれば、それなりに楽しめると思う。